2023県議選大船渡・陸前高田選挙区/前例なき激戦 いかに 告示10日前 読みにくい投票率、当選ライン

 9月10日(日)の任期満了に伴う岩手県議選(定数48)は、8月25日(金)の告示まで残り10日となった。定数2の「大船渡・陸前高田選挙区」には、表明順に現職・千葉盛氏(40)=大船渡選挙区・1期、大船渡市猪川町=と、同・佐々木茂光氏(65)=陸前高田選挙区・3期、陸前高田市気仙町、自民党県連公認、前同市議の新人・畠山恵美子氏(52)=同市横田町、同党県連推薦=が出馬の構え。新区割り下で投票率や当選ラインが読みにくい中、各陣営は地道な支持固めが続く。(佐藤 壮)

 

 県議選は令和元年の前回、16選挙区で行われたが、区割り改定で14選挙区となる。気仙はともに定数1だった大船渡選挙区(大船渡市)と陸前高田選挙区(陸前高田市・住田町)から気仙3市町が一つの選挙区となり、定数2を争う。
 2期目を狙う千葉氏は今月5日、大船渡市赤崎町内で後援会(鈴木敏彦会長)の事務所開きを行い、1期目の活動を振り返りながら支持者の結束を図った。前哨戦の活動では支持者と各地を回り、有権者との対話を重視してきた。
 佐々木氏は、連続4選をかけた戦い。今月5日に後援会(岡本紘一会長)が気仙両市で「励ます会」を開き、国会議員や首長らの激励を受け必勝を誓った。引き続き、後援会の人脈を生かした支持拡大や、県政報告会開催を見据える。
 市議を辞して初当選に挑む畠山氏。7月23日に行われた陸前高田市高田町での後援会(長谷川節子会長)事務所開きでは、支援の輪拡大への意欲を示した。マニフェストの発信に加え、辻立ちやインターネット発信にも力を入れている。
 告示が近づき、現職と新人による三つどもえの構図が固まりつつある中、当選ラインの行方にも関心が集まるが、合区となって初の争いだけに、予想は難しい。前例なき争いの中、各陣営は「地域にかかわらず1人でも多くの支持を」と、懸命に上積みを図る。
 千葉氏は令和元年、新人同士の一騎打ちで1万1383票を獲得し、相手候補を3677票上回った。佐々木氏は2度目の挑戦となった平成23年に1万142票を得て、新人相手に2891票差をつけた。同氏は27年、令和元年と無投票が続いた。
 今回は定数2であるため、投票数に占める得票が3分の1超であれば、議席獲得となる。ただ、得票が3分の1未満でも2位となる可能性があり、当選ラインの読みは難しい。
 6月1日現在の有権者数は、大船渡市2万9235人(男1万3924人、女1万5311人)、陸前高田市1万5817人(男7631人、女8186人)、住田町4339人(男2124人、女2215人)。3市町計は4万9391人(男2万3679人、女2万5712人)。
 割合で見ると、旧大船渡選挙区の大船渡市が59・2%。旧陸前高田選挙区のうち、陸前高田市が32・0%で、住田町は8・8%となっている。
 当選ラインや市町別の得票をうかがうには、市町別の投票率も気になる。東日本大震災以降、陸前高田市では市議選が知事選、県議選と同日投開票の日程で行われ、投票率が両市町よりも高く推移してきた。今回も、同市議選は候補者が定数を上回る競争選の見込みとなっている。
 両選挙区とも競争選となった平成23年県議選の投票率は、大船渡市が62・95%、陸前高田市が77・79%、住田町が70・89%。27年は県議選・知事選とも無投票で、令和元年は県議選は大船渡選挙区のみが競争選となり、大船渡市の投票率は過去最低の62・26%。知事選は同市が62・39%、陸前高田市が76・94%、住田町57・32%だった。
 過去の投票率と、今年6月の有権者数をもとに考えれば、気仙3市町の投票総数は3万3000票程度が一つの基準として浮かび上がる。市町別の割合は大船渡市が55%、陸前高田市が37%、住田町が8%──程度となる。
 また、知事選に立候補を表明しているのは、表明順に前県議の新人・千葉絢子氏(45)=盛岡市=と、4期目の現職・達増拓也氏(59)=同=の2人。与野党対決の構図が固まりつつある。
 知事選と県議選各候補の連動の行方も、焦点の一つ。これまで、千葉盛氏は達増氏の支持を表明し、佐々木氏と畠山氏は千葉絢子氏と連動した後援会活動を展開してきた。
 県議選立候補の届け出は25日午前8時30分~午後5時に、大船渡市猪川町の県大船渡地区合同庁舎で受け付ける。投票は9月3日(日)午前7時から、各市町選挙管理委員会開設の投票所で行われる。気仙両市は午後7時まで、住田町は同6時まで。各選管では、有権者に棄権防止を呼びかけている。