犠牲者追悼の思い寄せ 高田幼稚園の元職員ら 浄土寺にお地蔵さま建立(別写真あり)

▲ 浄土寺境内に設置されたお地蔵さまを見つめる臼井さん㊧と菅原住職

 陸前高田市高田町の浄土寺(菅原瑞秋住職)の本堂前にこのほど、東日本大震災で犠牲となった高田幼稚園の園児を供養するお地蔵さまが建立された。同園の元職員らの寄進によって建てられ、近くには、同園にあった「旅立ちの法然様」の像も設置。十三回忌にあたる今年、元職員らが犠牲者追悼の思いを寄せるとともに、「幼稚園があったことを忘れないでほしい」と記憶の場になることも願っている。(阿部仁志)

 

 地蔵は石像で、高さ30㌢ほどの2体と20㌢ほどの1体がぴったりと寄り添った一組。3体とも合掌のポーズをとり、柔和な表情を浮かべている。
 地蔵の近くには、かつて同園の門付近にあって園児らに親しまれた、浄土宗を開いた法然の像を設置。地蔵建立に寄進した故人を含む同園の元職員ら15人の名前や、建立の経緯を記した銘板も設けられた。
 今年7月末までに設置が完了し、今月11日に魂入れの法要を執り行った。元職員や関係者約20人が参列し、12年前を振り返り、鎮魂の思いを寄せた。
 平成23年3月の震災では、同園の園児6人が犠牲となり、同寺境内に隣接する土地にあった園舎は大津波で全壊。同年4月に地元の旧第一中学校で卒園式を行って休園となり、その後再開には至っていない。
 元職員らは、犠牲者の供養と、同園があった証しを残すことを目的に、地蔵建立を発案。震災当時、3代目園長を務めていた菅原住職(64)が賛同し、「卒園生や関係者が一目で分かる目印に」と、津波で流されたあと見つかった法然の像も設置した。
 元職員で、高田町内の災害公営住宅に住む臼井和賀子さん(75)は震災後、亡くなった園児や幼稚園のためにできることをと思っていた中、地元の石材店に並んでいたお地蔵さまと出会ったという。「今回のために作っていただいたお地蔵さまは表情が愛らしく、子どもたちの顔にも見える」とほほ笑む。
 11日の法要で無事に魂入れを終え「安心した」と臼井さん。「高田幼稚園があったということ、ここで過ごした時間があったということを、遠くにいった卒園生や高田の人が思い出せる場所になってほしい」と願う。
 菅原住職によると、同寺には震災で亡くなった園児らの同級生を含め、学校の卒業報告などで訪れる卒園生もいるという。「長期休みで帰省しているという人もいると思う。お地蔵さまや法然さまの像を見て、いろいろなことを思い出すきっかけにしてほしい」と話している。