豊漁信じて海へ 大型船三笠丸・サンマ船6隻が出漁 今月中の初水揚げ目指す(別写真あり)
令和5年8月18日付 7面

大船渡市赤崎町の鎌田水産㈱(鎌田仁社長)が所有する大型サンマ漁船6隻の「出船式」が17日、大船渡町の同市魚市場で開かれた。南側岸壁には199㌧の三笠丸船団6隻がずらりと並び、カラーテープをなびかせながら出港。公海での漁況にもよるが、26日(土)までに大船渡への初水揚げを目指す。(佐藤 壮)
朝方は雲に覆われたが、式の直前には青空が広がった。乗組員の家族や知人らが詰めかけ、しばしの別れを惜しむように幼い子どもを抱く乗組員の姿も見られた。
乗組員のいとこを見送るために訪れた宮城県登米市・中田中3年の野家柊さん(15)は「テレビとかで見るよりも迫力が違う。健康第一で頑張ってほしい」と話していた。
式では、6隻計約100人の乗組員らが整列し、同社の鎌田和昭会長が「どんな時でも健康第一で」とあいさつ。渕上清市長は「大漁に向かう心意気を頼もしく感じる」と祝辞を述べた。
大船渡魚市場㈱の千葉隆美社長もエールを送り、各船の漁労長らに子どもたちが花束を贈呈。代表して、第十一三笠丸の松谷裕漁労長(63)が航海の安全と大船渡での水揚げを誓った。
歌謡ステージに続き、6隻が次々と離岸。カラーテープがなびき、集まった関係者らは手を振り続けながら船員らの無事を祈った。
各船は20日(日)未明に北海道を出港し、大船渡からは数日かかる公海へと向かう。松谷漁労長は「行ってみないと分からないが、これがわれわれの仕事。いない中でも、おいしいサンマをいっぱい持ってこられるように、頑張らなければならない」と語った。
鎌田社長(50)は「今年は9月15日からロシア水域にも入る予定なので、昨年よりも実績が上向くことを信じている。頑張ってもらい、何とか今月25日か26日には初水揚げができれば」と、期待を込める。
国立研究開発法人水産研究・教育機構水産資源研究所がまとめた、今年8~12月における道東~三陸海域などでのサンマ漁況の見通しでは、来遊量は昨年に続き低水準の見通し。漁場は三陸海域よりも北東に離れた公海を中心に形成される一方、1歳魚(漁期中に体長29㌢以上になると予測されるもの)の割合は昨年を上回り、平均体重は昨年よりも10㌘程度多い110~120㌘が主体とみている。
全国さんま棒受網漁業協同組合によると、令和4年における全国の総水揚げ数量は、前年同期比2%減の1万7910㌧で、昭和36年からの集計以来、最低を更新。金額は同9%減の103億1180万円だった。
大船渡市魚市場では昨年、数量が前年同期比24%増の3054㌧で、金額は同20%増の19億8554万円。地元漁船や水産加工業の積極的な動きから、全国的に見ても増加幅が際立った。