2023知事選/県政の継続か、刷新か──達増、千葉両氏が立候補 現職と新人の一騎打ちに

 任期満了に伴う岩手県知事選は、17日に告示された。届け出順に、無所属の現職・達増拓也氏(59)=盛岡市・4期=と、無所属の新人・千葉絢子氏(45)=同市=の2人が立候補した。両氏は盛岡市内で第一声を上げ、「県政の継続か、刷新か」を問う17日間にわたる選挙戦が幕を開けた。投票は県議選、陸前高田市議選と同じ9月3日(日)に行われ、即日開票される。(三浦佳恵)

 

 本県の知事選は、4月の統一地方選で行われてきたが、平成23年の東日本大震災発生により、同年から9月に延期。今回は9月10日(日)の任期満了に伴うもので、公選制導入後は20回目、震災後は4回目の実施となる。
 立候補届け出の受け付けは、盛岡市の盛岡地区合同庁舎で午前8時30分に開始され、午後5時で締め切られた。
 立候補が予想された達増、千葉両氏のほかに届け出はなく、令和元年の前回選と同様、現職と新人による一騎打ちの選挙戦に突入した。
 届け出を終え、選挙の「七つ道具」を受け取った各陣営では、午前9時すぎから同市内で第一声を上げた。それぞれの会場には多くの支持者らが詰めかけた。
 震災からの復興事業は、ハード面を中心にほぼ完了。次なる「ポスト復興」の段階に入った。
 国内外で感染が拡大し、市民生活を大きく変えた新型コロナウイルスは感染症法上の5類に移行され、「ウィズコロナ」の暮らしが定着しつつある。
 こうした中、気仙をはじめとする県内は、新たな将来の姿を見据えなければならない時期にきている。しかし、県内では人口減少をはじめ、物価や燃料費などの高騰、県民所得の向上、産業振興、医療・福祉の充実、社会基盤の整備、災害に強い地域づくりなどの諸課題が山積。次の4年を託される県政のリーダーには、こうした課題の解決に一つ一つ対応し、県民のよりよい暮らしに結びつけていく手腕が求められる。
 両候補は、県が抱えるさまざまな課題を踏まえた自身の公約を示しながら、選挙戦最初の訴えを支持者らに力強く響かせた。そして、気勢を上げると選車に乗り込み、各地への遊説に出発した。
 投票は、9月3日午前7時から、各市町の選挙管理委員会が設置する投票所で行われる。
 県選挙管理委員会によると、今月16日現在の選挙人名簿登録者数(有権者数)は、大船渡市が2万9035人(男1万3839人、女1万5196人)、陸前高田市が1万5721人(男7577人、女8144人)、住田町が4317人(男2124人、女2193人)。全県は101万8219人(男48万7708人、女53万511人)。
 元年8月21日の前回選登録日と比較すると、大船渡市は2281人、陸前高田市は940人、住田町は487人減少。全県は、4万2525人減った。

 

候補者の公約・略歴(届出順)

 

 本紙調査票への回答などによる。略歴は、①最終学歴②主な略歴③職業④住所⑤出身地⑥年齢──。

 ◇達増拓也氏(無・現)

 【公約】▽全国トップクラスの子育て支援策・3歳未満の保育料を第2子から無料等スタート、一層の拡充へ▽リハビリテーションセンターのサテライト施設を沿岸に整備▽産業技術短期大学校を県北に新設▽パートナーシップ制度を支援▽農林水産業の振興で二酸化炭素吸収源対策の推進▽沿岸と内陸を結ぶ道路の整備・強化▽三陸振興へまちづくり会社を設立
 【略歴】①東京大学法学部②衆議院議員、岩手県知事、復興庁復興推進委員会委員、全国知事会農林商工常任委員会委員長③岩手県知事④盛岡市本町通⑤盛岡市⑥59
 【選挙事務所】盛岡市中央通3丁目3の20中央シティビル、℡019・601・5091


 ◇千葉絢子氏(無・新)

 【公約】▽人口減少に適応した地域社会を実現▽1人当たり県民所得の引き上げ▽子どもたちの学力・運動能力の向上▽災害に強い県土の構築・社会基盤整備▽農林水産業や観光振興、中小企業への支援を強化▽成長産業の育成・起業家支援・ILC誘致を実現
 【略歴】①慶應義塾大学法学部②フリーアナウンサー、富士大学客員教授、岩手県議、新しい岩手をつくる会代表③フリーアナウンサー④盛岡市三本柳⑤平泉町⑥45
 【選挙事務所】盛岡市菜園1丁目11の4樋下建設ビル1階、℡019・656・7127