9月に住民説明会開催へ 吉浜・大窪山での太陽光発電計画 環境アセス方法書の縦覧開始

▲ 大船渡市役所などで環境アセスメント方法書の縦覧がスタート

 大船渡市三陸町吉浜地区の大窪山市有地などで大規模な太陽光発電事業を計画する自然電力㈱(本社・福岡県福岡市、磯野謙、川戸健司、長谷川雅也代表取締役)は22日、県条例に基づき環境影響評価(環境アセスメント)方法書の縦覧を始めた。同社ホームページや市役所などで公開し、9月9日(土)と10日(日)には市内で住民説明会を開催。同社は今後も、意見交換会や現地見学会を開くとしている。(佐藤 壮)


 環境アセスメントは、大規模な開発事業などを行う場合、周辺環境の影響について事業者自らが調査・予測・評価を行い、その結果を公表し、県民や知事・市町村長などの意見を聞きながら環境への影響をできるだけ少なくするための手続き。
 計画する「大船渡第一・第二太陽光発電所事業」の事業者は、同社が代表社員となっている岩手三陸太陽光発電合同会社。方法書では平成25年から吉浜地区で太陽光発電事業を計画した経緯に触れ、当初は荒金山のみの設置だったのが、大窪山牧場跡地に集約し、県立自然公園条例の変更許可取得に至った流れや環境保全措置もまとめた。
 イヌワシの生息情報に基づく意見聴取や、実施状況も記載。太陽電池パネルや管理用道路、変電所などを設置するエリア内に湿地が分布し、重要な植物種が生育しているとの情報も得たため、調査を進めた。
 事業は「元山」と呼ばれる大窪山牧場跡地の約96㌶で計画し、太陽光パネルは約7万6600枚を計画。パネルをはじめ工作物を設置する面積は約23㌶としている。
 パネルは大窪山牧場跡地に集約。荒金山には、東北電力ネットワーク㈱との連系施設のみを配置する計画を掲げる。
 工事では測量、車両や重機搬入出路の整備、防災施設整備に加え、土木工事では市道の復旧工事や管理用道路工事を計画。資材運搬用のモノレール整備、パネル設置も実施し、建設工事期間は着工から20カ月程度を要するとしている。
 工事用資材の搬出入に関する車両の主要な走行ルートは、一般国道45号から「行き」は市道河内線を、「帰り」は市道大窪線を使用する。
 環境影響評価項目に基づく調査では、工事に伴う粉じんや振動、土砂による水のにごりや土地の安定性、動植物の生息地、地域を特徴づける生態系、眺望、自然との触れ合いといった分野の影響有無、配慮がなされているかなどを評価する。
 方法書は同社ホームページで確認できるほか、市役所本庁市民環境課と三陸支所、吉浜地域振興出張所、大船渡地区合同庁舎県民ホール、釜石市役所本庁舎生活環境課と唐丹地区生活応援センターで縦覧できる。平日の開庁日に対応し、時間は午前8時30分~午後5時15分。
 意見書の受け付けは10月6日(金)まで。各縦覧場所には意見書箱を設置し、郵送(〒113・0033 東京都文京区本郷5の33の10いちご本郷ビル3階自然電力㈱大船渡第一・第二太陽光発電所担当)も応じる。
 住民説明会は、9月9日から旧吉浜中学校体育館で、10日はリアスホールで行う。時間はいずれも午後1時30分から。
 ホームページ上で同社は「住民から地域の情報や関心事項・懸念事項等を聞き、対応結果を報告する形で『双方向のコミュケーション』を図る。法定の説明会以外にも、意見交換会や現地見学会を自主的に実施し、事業者として地域住民への説明責任を果たしたい」としている。
 先月、同社は環境アセスメントの手続き準備を公表。着工までの間、方法書や準備書の公告・説明を通じて事業内容が住民に示され、県環境影響評価技術審査会での審議などを踏まえ、知事意見も受ける。一般的にアセス期間は1・5年~4年程度とされ、当初は令和4年夏の着工を見据えていたが、7年夏以降の着工となる見通し。
 土地所有者は市で、事業者と締結した停止条件付きの土地賃貸借契約に基づき進められる。
 市は先月の市議会全員協議会で、環境アセスメントにおける工事着手が可能となるまでの流れを踏まえたうえで、事業可否に関する総合的判断を固める方針を示した。