2級水系全てで水害対策 プロジェクト案を決定 陸前高田で気仙圏域流域治水協議会

▲ 気仙圏域流域治水プロジェクトが示された協議会

 県や気仙3市町、国などの関係機関で構成する「気仙圏域流域治水協議会」は23日、陸前高田市高田町の同市コミュニティホールで本年度第2回協議会を開いた。気仙圏域の2級水系全てで水害対策を行うための「気仙圏域流域治水プロジェクト」の素案を協議し、原案通り決めた。県は今月内の策定を予定する。
 同協議会は、過去の大雨・台風被害や気候変動による今後の水害の激甚化・頻発化に備え、あらゆる関係者が協働して流域全体で水害を軽減させる治水対策(流域治水)を計画的に推進しようと、5月に設立。3年度に県や陸前高田市、住田町、国の関係機関などで設置した「気仙川水系流域治水協議会」に、大船渡市と盛岡地方気象台が加わり、オブザーバーを含む9の関係機関で構成している。
 6月の初回協議会は書面開催となり、今後のスケジュールを決定。今回は構成機関から16人が出席し、県大船渡土木センターの野﨑弥所長が「治水対策に取り組んでいくためのプロジェクトの内容を協議する。活発な意見交換をお願いしたい」とあいさつした。
 同プロジェクトは、2級水系として気仙圏域を流れる盛川、須崎川、綾里川、浦浜川、吉浜川、後の入川、船河原川、合足川、甫嶺川、泊川、長部川、浜田川、気仙川の13水系25河川を対象に、浸水被害の軽減を図るもの。全体図、ハード、ソフト両面での各種対策を落とし込んだ位置図、ロードマップで構成する。
 位置図には、各水系で県や市町、国が今後取り組む対策を提示。このうち、住田町の気仙川では県による橋梁の架け替えや河道掘削、堤防整備などを予定する。
 大船渡市では、県が行う立根川の河道掘削や大船渡町内への砂防えん堤整備などを計画。陸前高田市では、県による気仙川の河道掘削、市が行う浜田川の護岸整備などを盛り込んだ。
 合わせて、各市町で要配慮者利用施設の避難確保計画の策定、避難訓練、洪水・土砂災害ハザードマップの更新、防災気象情報の利活用に関する普及・啓発活動などにも取り組む。
 ロードマップには、今後5年間を対象とした「短期」とその後の「中長期」に分けて対策を示し、国、県、市町、住民や民間企業などが一体となって「流域の水害軽減と早期避難の促進」を図る。
 出席者から素案に対して意見はなく、プロジェクトの内容を決定。県は今月中に策定し、県ホームページで公表する。年内には、構成機関ごとの取り組み内容をまとめた参考資料の公表も予定する。
 同センター河川港湾課の柴田秀則課長は「気仙圏域は小さな流域、水系が多い。流域治水の対策を展開し、広域的に推進を図っていきたい」と話している。