「GOLD浪漫」食でも 気仙の産金文化にちなみ 〝黄金イクラ〟まつ田で提供(別写真あり)
令和5年8月28日付 8面

陸前高田市高田町のすし店「旬味旬彩 鮨まつ田」(松田光代店主)は9月1日(金)、新商品「岩姫ゴールド」(税込2980円)の取り扱いを始める。市内の養魚場で育てられたサーモンと、ヤマメからとれる希少な〝黄金イクラ〟を組み合わせたどんぶりで、同店は「日本遺産」にも認定された気仙の産金の歴史を食の面からもPRしていく考えだ。(鈴木英里)

気仙の黄金にちなみ、金色のイクラを商品化した松田店主
「岩姫ゴールド」は、矢作町の清水の湧口から引いたきれいな湧水を使って育てられた岩姫養魚場(本社・滝沢市、宇部稔代表)高田事業所のサーモンと、ヤマメの魚卵を使用した同店オリジナルの魚丼。ヤマメの卵は小粒ながら、サケのイクラよりもプチプチとした弾力が強く感じられ、卵黄にも似た濃厚な味わいを楽しめる。あきのこないさっぱりした風味と、さっくりした食感のサーモンとの組み合わせも相性抜群だ。
仙台市のすし店で働いていたとき、イワナからとれる〝黄金イクラ〟の存在を話に聞いていたという松田店主(49)が、同店の客でもあった同養魚場の宇部佑さんに尋ねたところ、ヤマメの卵も金色と分かったことが、商品誕生のきっかけだった。
ヤマメのイクラは透き通った美しい山吹色をしており、川底に沈んだ砂金のようにキラキラと輝く。とれる量が非常に少ない貴重さも、まさに黄金そのもの。令和元年、同市と平泉町、宮城県涌谷町、気仙沼市、南三陸町の2市3町の〝金〟にまつわる歴史・文化をまとめた「みちのくGOLD浪漫―黄金の国ジパング、産金のはじまりの地をたどる―」が「日本遺産」に認定されたことにちなみ、松田店主はこれを陸前高田の観光振興の一助にもしたいとする。
「食を通じて地元の良さを伝えていきたい」というポリシーを持つ松田店主は、「これまでも常連さんに(黄金イクラを)すしネタとしてお出ししており、『このあたりで金が出たんですよ』という話をするが、皆さんほとんどご存じない。かつて金が採掘された地域でとれる金のイクラということで、提供しながら玉山金山のことなども伝えていければ」と語る。
同時に、「せっかく陸前高田に来てもらっても、採金にまつわる分かりやすい展示などが少なく、案内できるところがあまりない」とし、日本遺産「みちのくGOLD浪漫」推進協議会が企画するツアーなど、観光にまつわる既存団体との連携も模索している。
「岩姫ゴールド」は9月1日から、1日限定10食で提供を開始する。同店の営業時間は午前11時30分~午後2時、午後5時30分~午後9時。火曜定休。