2023陸前高田市議選/19陣営の情勢展望㊤  読みにくい集票の行方  予断を許さぬ戦い続く

 任期満了に伴う陸前高田市議会議員選挙(定数16)は、30日で告示から4日目を迎え、中盤戦に入った。立候補者の地縁・血縁が複雑に絡み合う状況などを背景に、集票の行方は不透明な要素を残し、いずれの陣営も最後まで予断を許さない戦いが続きそうだ。現行から2減の16となる議席を巡りしのぎを削る各陣営の情勢を町別、届け出順に展望する。(高橋 信、有権者数は26日現在)

 

最大票田の動向注目/高田町

 

菅 野 秀一郎47無新
佐々木 一 義70無現③
鵜 浦 昌 也61無現③

 

 有権者数は4182人(前回選当日有権者比20人減)で、市全体の26・6%を占める最大の票田。立候補者数は前回選より2人少ない。その顔ぶれは立候補の取りやめなどで告示直前まで固まらず、開票結果に注目が集まる。
 新人の菅野氏=大町=は今月出馬を決意し、初挑戦。
 告示前までは本業の合間を縫った活動を余儀なくされ、急ピッチの態勢整備に追われたが、商業・観光や消防分野で市内団体の要職を務めており、知名度は高い。地元の同級生を中心とした働き盛り世代が活動を支え、市内全域への浸透を狙う。
 佐々木氏=下和野=は、地元小学生の登下校時の見守り活動に即した公約を掲げ、4選への戦いに挑む。
 初挑戦した平成23年は1440票でトップ当選を果たしたが、前々回871票(2位)、前回642票(5位)で、支持固めが最重要課題。軽いフットワークで築いた市全域における知名度を武器に支持を訴える。
 3期目の鵜浦氏=鳴石=は出馬しない意向を示していたが、支持者からの強い要請などを踏まえ、立候補を決意した。
 初当選を飾った平成23年は834票(6位)で、前々回は494票(16位)、前回は438票(17位)。地盤の高田、竹駒両町で支持を拡大できるかが焦点で、懸命に地元を回っている。

 

県議選も絡んだ攻防/気仙町

 

大 坂   俊72無現③
佐々木 良 麻38無新

 

 有権者数は1638人(同26人減)で、市内で4番目に多い票田となっている。長部地区から現職と新人の各1人が出馬し、今泉地区からの立候補者はいないという状況は、前回選と同じだが、今回は同じ日程で投開票され気仙3市町で2議席を争う県議選大船渡・陸前高田選挙区が選勢に大きな影響を与えそうだ。
 副議長の大坂氏=二日市=は、県議選同選挙区に立候補した現職を支援し、ともに地盤である長部地区での支持固めに躍起だ。
 前々回458票、前回411票と得票を伸ばせず、2回連続で最下位当選。今回は同地区で支持を得る候補予定者の出馬取り下げなど増票要素もあり、地元の浮動票確保に注力する。
 初挑戦の佐々木氏=水上=は、新人候補4人の中で最年少の38歳。
 前市議で、県議選大船渡・陸前高田選挙区の新人候補者と同じ横田町出身で、この前市議の支持票の受け皿として知名度を上げられるかがポイントとなりそう。さらに居住地の長部地区、自身と同じ子育て世代などへの浸透に意を注ぐ。

 

訴え強める現新3氏/米崎町

 

吉 田 健 太43無新
大和田 加代子62無現①
大 坪 涼 子72共現④

 

 有権者数は2442人(同78人減)で、市内8町の中で3番目の多さ。立候補者は現職2人、新人1人の3人で、町別で高田町と同じく最多となった前回選の5人から2人減。見極めづらい地元票の動向にも注目だ。
 新人・吉田氏=松峰=の今市議選にかかる主張は「誰もが言いたいことをいえる風通しのいいまちづくり」。多様な声を陸前高田の将来に反映させるべく、若い世代への市政参画も訴えている。
 課題は知名度の向上。SNSを駆使するなどしながら、浮動層の取り込みに力を入れている。
 再選を期す大和田氏=館=は、1期目と同様「行政、市民の垣根を越えて、対話・理解・協働のまちづくりを」をキャッチフレーズに、町内外の支持拡大に奔走している。
 前回選は568票(8位)。「聞く、動く、ともに創る」がモットーの議員活動で築いた市民とのつながりを強みに増票を目指す。
 大坪氏=脇の沢=は、5期目への挑戦となる。告示前には地盤とする高田、米崎両町のあいさつ回りを4巡し、組織力を生かした豊富な運動量が強みだ。
 過去4回は740~910票台と安定して上位当選しているが、「右肩下がり傾向ではある。緊張感を持って支持者を広げていきたい」と票の上積みを狙う。

 

現職2氏が地盤固め/小友町

 

及 川 修 一67無現⑥
福 田 利 喜65無現⑤


 有権者数は市内で4番目に少ない1604人(同114人減)。立候補者数は前回選から1人減で、当選回数5回と6回のベテランの現職2人が、議席維持を目指して地盤固めに奔走している。
 及川氏=鳥越=は、現職のうち、矢作町の1人と並んで最長の議員歴。今回7選に挑んでいる。
 平成23年は893票(5位)、8年前の前々回は793票(3位)、前回は900票(1位)と上位で当選しているが、陣営は上滑りを警戒。「地元を中心に支持を呼びかける」と堅実な姿勢で臨む。
 議長の福田氏=谷地館=は告示前、公務の合間を縫って町内全域のあいさつ回りを行った。
 6選を目指して突入した選挙戦。前回選の459票(14位)を踏まえ、「厳しい戦いになる」として掲げた目標は「1日30カ所で街頭演説」。「市民に開かれた議会づくり」などの重点政策を各地で訴えている。