2023県議選大船渡・陸前高田選挙区/終盤の情勢 千葉氏先行、畠山氏と佐々木氏競る
令和5年9月1日付 1面
大船渡市……千葉氏が大きくリード
陸前高田市…佐々木氏が手堅く浸透
住 田 町…畠山氏の広がり目立つ
任期満了に伴う岩手県議選は、告示から8日目を迎えた。大船渡・陸前高田選挙区(定数2)には届け出順に、前陸前高田市議の新人・畠山恵美子氏(52)=陸前高田市横田町、自民党県連推薦=と、現職・千葉盛氏(40)=大船渡選挙区・1期、大船渡市猪川町、同・佐々木茂光氏(65)=陸前高田選挙区・3期、陸前高田市気仙町、自民党県連公認=の3人が立候補し、新たな区割り下で激戦を展開。これまでの情勢では、千葉氏が大船渡市内での強さを生かして先行し、2議席目をかけて畠山氏と佐々木氏が激しく競り合う。市町別で動向が異なるほか、態度を決めていない有権者や流動要素が多く、選勢を見極めにくいまま終盤の舌戦に突入した。
東海新報社は今選挙に合わせ、期日前投票を済ませた有権者に出口調査(28~30日、大船渡市役所本庁、陸前高田市役所、住田町役場)を実施。この分析と、告示前からの取材を加味して終盤の情勢を展望した。
大船渡市では、千葉氏の強さが際立ち、畠山氏が支持拡大を図り、佐々木氏が巻き返す展開。陸前高田市では、実績のある佐々木氏が手堅さを見せ、畠山氏も支持を伸ばし、千葉氏が追いかける。住田町では畠山氏の広がりが目立ち、現職両氏は後半に入り、支持が伸びつつある。
届け出順に、県議選初挑戦の畠山氏は、住田町では告示前から後援会が積極的に動き、陸前高田市でも市議活動を後押ししてきた支持者らが攻勢をかける。大船渡市では自民党県連推薦を上申した同党大船渡支部のつながりから、知名度向上を図ってきた。
唯一の女性候補である中、女性住民や、同日投開票の県知事選に立候補している新人・千葉絢子氏(45)に期日前投票した有権者の支持割合が高い。一方、投票日が近づくにつれ、実績がある現職両氏の勢いが増す状況も垣間見える。畠山氏陣営では「これまで政治に声を上げてこなかった層にも訴えたい」と終盤を見据える。
再選を目指す千葉氏は、区割り改定前となる令和元年に、大船渡市内で1万1000票余を獲得して新人同士の一騎打ちを制した。課題とされていた陸前高田市や住田町にも一定の浸透があり、優位に展開する。同じ投開票日程の知事選では5選を目指す現職・達増拓也氏(59)を支持する中、同氏への期日前投票者に加えて、千葉絢子氏に投票した有権者や自民支持層も取り込んでいる。
気になるのは〝大票田〟である大船渡市内での投票率。陸前高田市では同日投開票で市議選もあるため、大船渡市を上回る状況が予想される。陣営では告示後、各地を丁寧に回り、支持固めを進める。
4選を目指す佐々木氏は初当選を飾った12年前、陸前高田市と住田町で計1万票超を得て、平成27年と令和元年は無投票。今回は自らが自民党陸前高田市支部の代表を務め、県連公認を受けた中、同党支持層が厚いほか、同市と住田町では党派を超えた広がりも見られる。
同市でこれまでの実績を生かして支持をさらに伸ばし、他候補に後れを許す大船渡市や、現職としての知名度がある住田町でどう踏ん張るかが鍵になりそう。告示後は各地を細やかに回り、積極的に街頭に立ってきた。陣営では「大船渡の漁業が盛んな地域などで反応がいい」として力を込める。
県議選は、10日(日)の任期満了に伴うもの。県内14選挙区で定数48を争う。令和元年の前回は16選挙区だったが、今回は区割り改定で14選挙区となった。
気仙はともに定数1だった大船渡選挙区(大船渡市)と陸前高田選挙区(陸前高田市・住田町)が改定となり、気仙3市町を一つの選挙区とし、2議席をかけて争う。投開票は知事選、陸前高田市議選とともに3日(日)に行われる。
8月24日現在の選挙人名簿登録者数(有権者数)は、大船渡市が2万9021人(男1万3829人、女1万5192人)、陸前高田市が1万5716人(男7572人、女8144人)、住田町が4313人(男2120人、女2193人)。3市町の合計では4万9050人(男2万3521人、女2万5529人)。
割合で見ると、大船渡市が59・2%。陸前高田市が32・0%で、住田町は8・8%。一方、東日本大震災以降、陸前高田市では市議選が知事選、県議選と同日投開票の日程で行われ、投票率が両市町よりも上回り、気仙で見ると人口以上に投票者の割合が高い傾向がある。
平成23年県議選の投票率は、大船渡市が62・95%、陸前高田市が77・79%、住田町が70・89%。27年は県議選・知事選とも無投票で、令和元年は県議選は大船渡選挙区のみが競争選となり、大船渡市の投票率は過去最低の62・26%。知事選は同市が62・39%、陸前高田市が76・94%、住田町57・32%だった。