コロナ禍前回復に手応え 市立図書館 指定管理やセルフ貸出定着

▲ 空調設備更新工事などを終え、通常利用となっている図書館

 大船渡市立図書館の令和4年度貸出者数が2万3676人・団体となり、コロナ禍前の平成30年度とほぼ同水準となった。貸出冊数も同年度以来となる13万冊を突破。市では、一昨年から導入しているセルフ貸出機や、4年度からの指定管理者制度へのスムーズな移行を要因の一つとして挙げる。今後も、現在3割台となっているセルフ貸出機の積極利用を呼びかけ、司書資格スタッフらの有効活用などにつなげる。(佐藤 壮)

 

 市によると、4年度の図書館利用者数は前年度比で700人・団体余り増加。元年度末から新型コロナウイルスの影響が広がり、休館措置などを余儀なくされ、貸出者数や貸出冊数は低迷が続いた。4年度は平成30年度に及ばないものの、市民1人当たりの利用換算では上回っている。
 また、同館では新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用し、所蔵する約15万冊に約5㌢四方のICタグを貼り付け、3年4月から受付カウンター前に設置したセルフ貸出機1台の運用を開始。画面のボタンを押し、利用者カードをかざして冊数を選び、まとめて置くだけで手続きが済む。
 導入以降、貸出者数の3~4割がセルフ機を利用。数秒で手続きが完了する手軽さが好評を博している一方、職員とのやり取りを希望する市民も多いという。本年度も新型ウイルスの感染が広がり、同館では引き続き積極的な利用を呼びかけている。
 平野辰雄市民文化会館長兼図書館長は「セルフ貸出機は、運用開始から約2年5カ月が経過して利用が進む一方、4年度の市立図書館利用者アンケートでは利用しない理由として『貸出機の場所がわからない』『操作がわからない』『操作する自信がない』が10%を超えた。活用や操作方法を説明し、さらなる普及拡大を図りたい」と話す。
 同館は4年度から、指定管理者制度を導入。㈱図書館流通センター(東京都文京区)が、指定管理者として運営している。3年度までは司書1人、司書補1人だったが、4年度以降は司書4人となった。
 図書館は「貸し出しサービス」「蔵書の管理」にとどまらず、地域社会の現状や課題を把握し、課題解決のための資料収集や調査研究を支援するサービスを提供するといった役割も担う。専門知識や経験を有する司書の配置の重要性が高まっている。
 新たな取り組みとして、秋の読書週間には貸出冊数を無制限に。大人の塗り絵教室といった自主事業開催に加え、各種教室への講師派遣も行った。
 さらに、利用者の動向を踏まえ、カラーコピー機を設置。インターネットパソコンや電子新聞の導入も進めた。利用者満足度調査では、職員の対応や説明について令和3年度は「満足」「やや満足」の合計が63%だったが、4年度は75%に上昇したという。
 本年度は空調設備更新工事に伴い、4月1日~7月18日を休館とした。この間、移動図書館車に加え、新たに1台に図書を積載し、貸し出し可能冊数を増やしたほか、日曜日に合わせて臨時窓口を5日間開設。この間の累計利用者は474人で、貸出冊数は2807冊だった。
 貸出者数の推移などは別掲。