「盛町五年祭」県文化財に 県保護審が指定を答申 旧仙台藩・気仙の祭り特徴示す

▲ 盛町五年祭で繰り広げられる「館山車」

 県文化財保護審議会は8日、大船渡市の「盛町五年祭」などを無形民俗文化財に指定するよう県教委に答申した。答申通り告示され、指定となる見通し。盛町五年祭は、旧仙台藩領域の気仙地方における祭りのあり方の特徴を示し、継承の重要性が認められた。県内での無形民俗文化財の指定は今年4月の「南日詰大神楽」(花巻市)以来。市内での県文化財指定は11件目だが「祭り」では初となる。(佐藤 壮)

 

 今回答申となったのは、有形文化財指定が岩手県管轄地誌(甲本・乙本、盛岡市・岩手県)と盛岡藩覚書(盛岡市)、盛岡藩雑書(同、追加指定)。無形民俗文化財は、盛町五年祭と日高日防祭(奥州市、対象拡大・名称変更)。
 盛町五年祭は、同町に鎮座する天照御祖神社(長谷川瑞彦宮司)の式年大祭。4年ごと三つの干支(寅・午・戌)に合わせ、4月末ごろに催行される。天神山の同神社から町内に渡る神輿を供奉し、稚児行列のほか、山車、曲録、権現舞、はやし屋台、手踊りの群舞が行列する。
 このうち、山車は、県内の旧仙台藩領域の祭りに特徴的な高い建物を持つ「館山車」と呼ばれる人形山となっている。建物の中と横には定型の人形、山車の前後には武者や話題の題材の人形などを載せる。
 大名行列にならった「曲録」は、神座を載せた神馬を曲録唄を歌いながら引くもので、市の無形民俗文化財に指定されている。祭礼の記録自体は明治15年から保存され、祭礼に供奉する曲録は、文政9(1826)年ごろに仙台藩の足軽を招いて習得したと伝えられている。
 県内の町場における祭礼では山車、農漁村部の祭礼では芸能が供奉されるが、盛町五年祭では人形山と芸能、さらに芸能を載せたはやし屋台という双方の要素を取り込み、地域的特徴を示している。芸能には、旧仙台藩領域で多く見られる大名行列(曲録)が早い時期から伝承されているといわれ、周辺に影響を与えた可能性も考えられる。
 毎年ではななく、決まった周期で大祭を催行する式年祭は、気仙地方独自の儀式。人形山を出す式年祭は各地で行われており、とくに旧気仙郡の郷社であった陸前高田市の氷上神社の祭礼では複数の山車が出され、盛大な祭り絵巻を伝えてきたが、震災で被災し、その姿が失われている。
 継承の貴重さが増し、盛町内での継承意欲も盛んな中、今回指定を受けることになった。市教委からの情報提供といった動きからではなく、県側で調査を続けていたという。
 市内での文化財県指定は、平成30年度に日頃市町の「板用肩怒剣舞」が指定されて以来11件目。無形民俗文化財では同剣舞や末崎町の門中組虎舞、三陸町越喜来の浦浜念仏剣舞に続く4件目だが、祭りは初となる。
 前々回となる平成30年の式年大祭時は、さかり中央通り商店街で神輿渡御行列などがあり、名行列の先頭に、稚児行列や権現様、市の無形民俗文化財である曲録、御神輿などが続いた。各地域の祭組が、牡丹花を飾り付けた色鮮やかな祭屋台を運行し、さらに手踊りの披露が続くなど、町内外から訪れた多くの見物客を魅了した。
 昨年の前回は、新型コロナウイルスの影響で行列や余興奉納などは見送られ、神社内で神事のみ実施。社殿前には牡丹飾りを用意したほか、同神社や飛地境内社の各権現様を並べ、地域の誇りや伝統をつないだ。