安全対策 実効性重視で 大船渡中学校周辺の道路環境 市は全面的な拡幅に難色

▲ 国道45号よりも高台に位置する大船渡中。末崎中との統合に向けた議論が進む中、周辺の道路環境にも関心が高まっている

 大船渡市で、大船渡、末崎両中学校の統合に向けた議論が進む中、市教委が統合後の校舎として利用方針を示す大船渡中校舎周辺の道路環境に関心が高まっている。市教委側は統合後、末崎地区の生徒を対象にスクールバスを運行する方針で、さらに保護者らによる送迎など、交通量増加が予想される。道路沿いに住宅などが立ち並び、市当局は全面的な拡幅など抜本的な改良には難色を示す一方、東日本大震災以降、仮校舎・仮設住宅対応に合わせ大型バスが運行した実績を踏まえ、実効性ある対応を検討するとしている。(佐藤 壮、2面に一般質問の主なやり取り)


統合議論で高まる関心

 

 大船渡中周辺の道路環境を巡る問題は、13日に行われた市議会一般質問で、小松龍一議員(光政会)が取り上げた。「国道45号から大船渡中に入る道路が狭く、これまで以上に交通量が多くなると予想されるが、安全対策や道路幅員の改良などの考え方は」と迫った。
 金野尚一都市整備部長は学校指定の通学路として利用される中、市は歩行空間確保に向けた整備を説明。JR大船渡線BRT大船渡魚市場前駅付近からの道路改良、校舎北側へとつながる歩行者専用通路整備、大船渡小前の道路改良など、通学する生徒の安全対策を実施してきた取り組みを振り返った。
 統合後における車両の交通量増加に関しては「民家や(擁壁など)付属構造物が道路境界付近まで建設され、全面的な拡幅など抜本的な改良は困難と考えている」と答弁した。
 そのうえで、東日本大震災直後、旧赤崎中の生徒が大船渡中の校舎を利用した際、大型スクールバスで通学した対応に言及。グラウンドでの仮設住宅整備に伴い、路線バスが運行された経緯にも触れた。「当時の運行状況や問題点について地域や関係機関などに聞き取りして危険箇所を抽出するとともに、生活道路の観点も含めた安全対策について、実効性ある対応を検討したい」と語った。
 両校の統合に関しては、7月に大船渡地区で、8月に末崎地区でそれぞれ学校統合協議会が開催され、いずれも「統合する」との結論に至り、市教委に報告。市教委では今月26日(火)に両地区関係者による推進協議会を設けることにしている。
 市教委が策定した市立小中学校適正規模・適正配置基本計画では、統合後の校舎は現大船渡中を利用する方針を掲げる。末崎地区での統合協議会では、市教委側が通学支援策を説明した。
 末崎地区の全中学生を対象とし、29人乗りマイクロバス3台を運行する方針。平日は登校1便、部活動の有無に応じた下校2便で、週休日と長期休業時は往復1便。平と烏崎、碁石の3ルートを示した。市教委では、具体的なルートや運行時間は、保護者や学校の意見・要望などを踏まえて決めるとしている。
 末崎地区の議論では、地区・地域公民館やPTAから、送迎する道路環境や駐車場に関する不安の声が出た。「通学路は重要な課題ととらえ、予算確保を」「冬場に坂道を上れない時などを見据え、駐車場の整備を」といった意見が寄せられた。
 国道45号よりも高台に位置する大船渡中周辺の道路は、坂道や急カーブに加え、道幅が狭く車両のすれ違いが難しい区域もあり、長年課題とされてきた。
 同校では、保護者に一方向からの車両送迎を呼びかけるといった対応を重ねている。避難場所としても想定されている中、緊急時の円滑な通行といった観点からも、改良を望む声は根強い。