暮らし体験し交流を 民泊修学旅行生が訪問 今秋は延べ1200人受け入れ

▲ 対面式であいさつを交わす生徒と住民

 秋の修学旅行シーズンに入り、陸前高田市で14日、民泊を体験する修学旅行生と受け入れ家庭との対面式が開かれた。新型コロナウイルス禍で受け入れを休止していたが、昨秋再開し、今秋は昨年度の約3倍の延べ1200人が民泊型の修学旅行を満喫する。自然豊かな同市ならではの暮らしを体験できるほか、東日本大震災の教訓や防災・減災のまちづくりを学べるのが特徴で、交流人口拡大にも期待がかかる。(高橋 信)

 

 秋季の受け入れ1校目は、東京都東久留米市の下里中学校(藤井和重校長、生徒353人)で、3年生約110人が14日に陸前高田市入り。受け入れ家庭約30世帯との対面式「はまって会」は、高田町の夢アリーナたかたで行われた。
 佐々木拓市長が駆けつけ、「市民を代表して皆さんを大歓迎する。防災・減災について学ぶだけでなく、普段は体験できない田舎暮らしが待っているので、ぜひ満喫してほしい」と呼びかけた。
 式のあと、生徒と住民は自己紹介を済ませ、早速、家庭ごとに移動。市内を見学したり、農作業や漁業の仕事を手伝ったりするなど、思い思いの時間を過ごした。
 滞在は15日まで。生徒の一人は「民泊は初めての体験なので、少し緊張するけど楽しみでもある。果物の収穫などをやってみたい」と期待を膨らませた。
 生徒5人を受け入れる広田町の蒲生由美子さん(64)は「コロナでずっと受け入れを自粛していたが、今年の夏に再開した。久しぶりだったので少し緊張したが、やっぱり楽しかった。都会の生徒たちに地元のきれいな海を見せたい」と笑顔で語った。
 同市における民泊修学旅行事業は、平成28年度から本格化。令和2、3年度はコロナ禍で休止し、4年度は秋に延べ400人を受け入れた。
 今秋は11月までに大阪府3校、東京都2校の中高5校の生徒が訪れる予定。来年度は現時点で、年間12校延べ3800人の受け入れを見込んでいる。
 事業の窓口業務などを担うNPO法人SET担当スタッフの吉原直矢さん(28)は「無事、対面式を終えられてホッとしている。陸前高田の魅力は市民の温かな人柄。時間は限られるが、心の交流をして生徒たちにとって忘れられない思い出となればうれしい」と願いを込める。