交流再興のパイプ役に フラメンコダンサーの中田さん 大船渡ふるさと大使 スペイン・パロス市訪問を報告(別写真あり)
令和5年9月16日付 7面

スペインを拠点とするフラメンコダンサーで、さんりく・大船渡ふるさと大使を務める中田佳代子さん=大船渡生まれ=が14日に大船渡市役所を訪問し、同市が平成4年に姉妹都市締結を結んだスペインのパロス・デ・ラ・フロンテラ市の市長から預かったパンフレットなどを渕上清市長に手渡した。中田さんは心温まる歓迎を受け、現地に「大船渡通り」もあることなどを紹介し、交流再興に期待を込めた。(佐藤 壮)

パロス市長から預かった品々を手渡した中田さん㊧
中田さんは約20年前からフラメンコ活動を本格化させ、海外だけでなく、盛岡にスタジオを構え、陸前高田でも教室を設けてきた。昨年、住民団体の「黄金の海・ケセンプロジェクト」(新沼英明会長)が締結30周年記念事業を
展開する中、パロス市のカルメロ・ロメロ市長から祝意を示すメッセージ映像が届いたが、同市に働きかけたのが中田さんだった。
大船渡市からも、渕上市長のメッセージ映像などを送付。ロメロ市長は約30年前、副市長として大船渡を訪れた縁があることから、今年に入り、中田さんがプロジェクトメンバーにパロス訪問を相談した。
市からも後押しを受け、中田さんはさんりく・大船渡ふるさと大使の委嘱を受けた。今月、中田さんはパロスを訪れてロメロ市長らと対面し、一緒に各地を巡った。
日本に戻り、報告のため新沼会長らを伴って大船渡市役所を訪問。市側は渕上市長や引屋敷努副市長らが対応した。中田さんは、ロメロ市長から預かった書籍やパンフレットといった品々を渕上市長に手渡した。
渕上市長は「太いパイプ役として、思いをつないでいただいた。せっかくの縁であり、われわれも一緒に盛り立てていきたい」とあいさつ。
中田さんは「大歓迎をしていただいた」と語り、ロメロ市長とともに「大船渡通り」と名付けられた地域や、漢字で「大船渡市」と刻まれ、市章をかたどったモニュメントなどの見学を報告。イチゴをはじめ産業振興に力を入れている現状も目の当たりにしたという。写真や映像を、プロジェクトメンバーや大船渡市関係者と共有した。
そのうえで「パロス市は他の都市とも友好関係を結んでいるようだが、大船渡市とは『強くつながっていきたい』と話されていた。パロス市は若者の移住に力を入れている。若い人々による国際交流などができれば」と語った。
平成3年7月、コロンブスのアメリカ大陸到達500年を記念し、スペインで復元建造された帆船「サンタ・マリア号」が、スペイン・バルセロナを出港。官民一体となった招致活動が功を奏し、日本国内での回航の一環で、大船渡入港が翌年8月11日に実現した。
500年前の出帆地であるパロス市との交流は、バルセロナからの出港に合わせ、大船渡市の一行が訪問したのが発端。同年8月12日、大船渡市内でパロス市関係者らが出席しての調印式をはじめ、多彩な交流イベントが繰り広げられた。
同プロジェクトでは昨年、締結30年の節目に合わせ、多彩な取り組みを展開。今年7月にも「サンタ・マリア号がめざしたジパング展~姉妹都市パロスとともに~」を市内で開催した。