多彩な〝山の仕事〟に触れる 大船渡東高1年生 県内初「セーザイゲーム」体験も 気仙地方林業職場体験会(別写真あり)
令和5年9月20日付 7面

気仙地方林業振興協議会(会長・佐々木拓陸前高田市長)による「気仙地方林業職場体験会」は19日、大船渡、陸前高田両市で開かれた。県立大船渡東高校(千葉久校長、生徒226人)の農芸科学科1年生13人が伐採現場での作業を体験し、関連施設を見学。県内で初となる製材所経営シミュレーションゲーム「セーザイゲーム」にも挑戦し、さまざまな視点から林業や製材業などの多彩な〝山の仕事〟に触れた。(三浦佳恵)
この体験会は、地元高校生を対象に、林業事業体の働く姿の見学と体験を通じ、職業としての林業・木材産業の具体的なイメージを持ってもらおうと企画。東高を対象とした実施は、令和2年度以来2回目となった。
生徒らは午前中、気仙地方森林組合が伐採作業を行っている大船渡市末崎町内の現場を訪問。同組合の協力を得て、枝払いや玉切りを行うプロセッサ、丸太の積み降ろしなどを担うグラップル、丸太を運ぶフォワーダを動かし、ドローンの操作、樹高測定にも取り組んだ。
その後、一行は陸前高田市小友町の気仙大工左官伝承館に移動。館内見学を通じて気仙大工の技術などを間近にした後、セーザイゲームを体験した。
このゲームは、林業、木材産業を遊びながら学ぶことを目的に、三重県の三重大学と熊野林星会が共同開発したもの。今回は、㈲阿部製材所(奥州市)の阿部高志代表取締役社長がゲームの進行役を務めた。
生徒たちはグループに分かれ、製材所の経営者となってゲームに挑戦。競りで丸太を落札し、原木市場から丸太ボードを仕入れた。ボードには木製の材木ブロックを当てて柱や板などに製材する木取りを行い、製品市場で換金して稼いだ金額を競い合った。
各グループでは、高品質な丸太や木材を得るために検討を重ね、楽しみながら製材の仕事を学習。現場体験などと合わせ、林業や関連産業をより身近にした。
花輪実空さんは「木取りは難しかったけれど、みんなで協力して競りに参加できて楽しかった。現場体験でも機械の操作などが難しかったが面白さも感じ、林業の仕事に関心が持てた」と充実した表情を見せた。
県大船渡農林振興センター林業振興課の髙橋淳課長は「林業の体験はもちろん、ゲームを通じて商売や取引にも関心を持ってもらえれば。将来に向け、地域でこういう仕事があると知ってほしい」と話していた。