猛暑乗り越え カキ豊洲へ むき身作業が本格化 「まずまず」今後に期待込め 気仙沿岸(動画、別写真あり)
令和5年10月1日付 1面
気仙沿岸で9月30日、東京都中央卸売市場・豊洲市場に出荷する養殖カキの「初むき」が行われた。2日(月)に控える初競りでの高値を願い、関係者が一個ずつ丁寧にナイフを入れた。夏場の猛暑や燃油・資材価格高騰など苦難を乗り越えた乳白色の身に、漁業者はさらなる成育向上や価格安定への期待も込めた。一方、海水温が高い状況が続き、出荷時期を遅らせるなど様子見の動きも出ている。(佐藤 壮)
初競りに向けた1日の発送を前に、大船渡市漁協管内のむき身作業は30日の日の出前から本格化。大船渡町宮ノ前の岸壁沿いに並ぶ作業場では、午前3時ごろから大船渡養殖組合(新沼敬司組合長、19人)の関係者らが集まり、ナイフで殻を開ける小気味良い音が響いた。
新沼組合長(58)の作業場では、約100㌔の出荷に向けた準備に追われた。大船渡湾内の珊琥島付近で育てている養殖施設から29日に引き上げた殻付きを手にし、初日とあって一個ずつ丁寧に成育を確かめながら、大きさ別に仕分けた。
「海のミルク」とも呼ばれる乳白色のぷりぷりとした身が並び、関係者から笑顔がこぼれた。様子を見に訪れた知人からは「身がそろっている」「卵が抜けている」といった声が聞かれた。
新沼組合長は「むいてみないと分からない部分があったが、昨年よりも良い感じがする。スタートとすれば、まずまずではないか。もっと大きく、締まった身になるためにも、海水温が下がってくれれば」と語る。
9月下旬まで猛暑が続いた日々を「地獄のようだった」と振り返る。船上では、直射日光の下、殻の付着物を取り除く温湯駆除にあたった。例年よりも作業時間を朝方に早めるなど、暑さの影響を少しでも避ける対応を重ねて〝熱〟との戦いを乗り越えてきた。
漁船を動かす燃油や各種資材類など、あらゆる価格が高騰し、浜の仕事場も苦難が多い。むき身は年内をピークとし、状況を見ながら年明けも続ける予定。新沼組合長は「カキだけ値段が上がらないとなれば、われわれの生活が苦しくなる。近年は年明けも値段が安定しているが、いっぱい消費してもらい、高値になってくれれば」と期待を込める。
三陸沿岸では、例年よりも海水温が高い状況が続いている。市漁協によると、出荷時期をずらすなど様子見の動きも出ている。
市漁協管内の令和4年度の取り扱い実績は、むき身が約110㌧、2億6944万円。殻付きは約444万個で、3億4563万円だった。
本年度はむき身109㌧、2億5000万円、殻付き426万5000個、3億4430万円を目標としている。
毎年、気仙産のカキは全国トップレベルの高品質と価格を誇る。昨年の豊洲市場での初入札では、広田湾漁協上場分の最高値が10㌔当たり5万8000円を付けた。






