建造実現の誇り再確認 「気仙丸っとセミナー」が開講 価値伝承の広がり見据え(別写真あり)

▲ 12月まで月1回ペースで開かれるセミナー

 千石船「気仙丸」利活用推進協議会による「千石船気仙丸っとセミナー~気仙丸について学んでみよう!〜」は4日、大船渡市大船渡町のおおふなぽーとで開かれた。気仙船匠会の鈴木周二顧問(79)が講師を務め、市民運動や起工、建造、完成までの経過や、建造が実現した気仙の誇りも伝えた。全3回のセミナーで、次回は11月1日(水)に開催される。
 同協議会は商工会議所や市、市観光物産協会、気仙船匠会、㈲大船渡ドック、㈱キャッセン大船渡で構成し、昨年1月に設立。存在や価値について多くの人々が学ぶ機会をつくるとともに、船大工に関する技術・技能を後世に伝承、語り継ぐ機運の醸成を見据え、初めて企画した。
 市民を中心に約20人が参加。建造事業の企画・立案に携わった鈴木さんは全国的に木造和船を手がける船大工が激減した中、気仙丸の復元建造が実現した背景などを解説した。
 船匠会の会長を務める新沼留之進棟梁の優れた指導力・統率力に加え、先見性にも言及。「古いものを造っているが、20年先、30年先を考えていた。クリーンエネルギーである風を利用する重要性を語っていた」などと述べた。
 さらに、気仙各市町と商議所をはじめとする経済界や住民を挙げたバックアップ体制が功を奏し、平成4年に開催された「三陸・海の博覧会」で出展し、その存在が国内外から注目を浴びた点も紹介。「気仙が一つになるということが、気仙丸を軸にまとまった」と振り返った。
 今後を見据え「これからどういう道をたどるかは不明だが、江戸期の繁栄を支えた千石船が、現代の船大工によってよみがえったことは、消したくても消せない事実」と指摘。気仙丸建造後、船匠会が各地で千石船の復元事業に関わった動きにも触れながら「それぞれの地域に夢をもたらし、かなえただけでも、その価値はある」と語った。
 出席者は終始熱心な表情で聴講。資金確保から建造着手、完成までの流れをまとめた映像も視聴し、価値を再確認していた。
 11月1日の2回目は、地域の歴史や文化特性など、復元建造の背景を探る。12月6日(水)の3回目では、「気仙丸の未来」として今後の利活用を考える。いずれかの日に、気仙船匠会メンバーが案内する船内見学会も予定している。
 協議会では今月8日(日)午前10時~午後3時と9日(月)の正午~午後3時に、市内外の人々に広く周知しようと、気仙丸の展示会場で「ふれあい展示会」を開催。両日とも船内を見学できるほか、8日は午前11時と午後1時、同2時にガイドによる案内も。パネル展示、VR映像の視聴、ポストカードの販売も予定している。