種山ヶ原で木の種を採取 育苗プロジェクトの一環で 関係者が保育園児とともに(別写真あり)

▲ プロジェクトメンバーが保育園児とともに種山を歩いて種を採取した

 住田町と同町の一般社団法人・邑サポート(奈良朋彦代表理事)、同・モアトゥリーズ(東京都、隈研吾代表理事)の3者が展開する「育苗プロジェクト」の一環として6日、同町の種山ヶ原森林公園内で木の種の採取が行われた。町教委による有住保育園(紺野留実子園長)園児を対象とした「森の保育園」と合同で実施され、プロジェクトの参加メンバーが子どもたちと豊かな自然の中を歩き、さまざまな樹木の種を集めた。 (清水辰彦)

 同プロジェクトは、住田町内で採取した木の種を苗木まで育てて植樹用に販売するもの。森づくりを通じた町内外の住民交流による移住者・関係人口の拡大、森林林業に携わる人材増加に加えて、町内の植物の遺伝子を後世に残すことや、苗の地産地消による町内での経済循環を目的として取り組んでいる。町と邑サポート、モア・トゥリーズは先月27日、「育苗プロジェクトに関する連携協定」を締結し、連携して森林づくりやそれを通じた人材交流の活性化を図っていくこととした。
 町民や森づくりに関心のある企業とともに、町内の森林で広葉樹を中心とした種を採取し、イコウェルすみた(世田米)の敷地内に整備した育苗施設で管理する。種の採取者も〝里親〟として水やりなどの管理を担うことで、育苗を通じた人材交流の機会も創出していく。
 育てた苗は企業や森林組合などに植樹用として販売し、町内で植えてもらう。さらに、販売による収益をプロジェクト運営費等に充てることで、地域内での経済循環を図る。
 初の採取日となったこの日は、邑サポートやモア・トゥリーズ、モア・トゥリーズの活動に協賛する㈱メンバーズ(東京都)社員ら約10人が参加。「森の保育園」で種山ヶ原森林公園を訪問していた有住保育園児に同行し、豊かな自然の中で種を探し歩いた。
 物見山レーダー雨雪量計観測所の近くを出発した一行は、子どもたちとともに水辺の広場を目指して下山。道中では、案内を務めた「すみた森の案内人の会」のメンバーからも植物の説明を受けるなどしながら、目をこらして広葉樹の種を探し求めた。
 参加者は、ドングリの実をつけるミズナラのほか、イタヤカエデ、クロモジなど種山の多様な植物の種を採取。集まった種をイコウェルすみたで播種し、順調な生育に願いを込めた。
 ㈱メンバーズは今年2月、町、モア・トゥリーズと「地方創生事業に関する連携協定」を締結。森林づくりや地域資源の保全などの事業を連携して推進することとしており、町内の森林への植樹も展開する。
 同社CSV本部脱炭素DX研究所の中村優花さん(29)は「久しぶりに自然に触れて、いろんな植物があって楽しかった。ドングリが凶作と聞いていたが、見つけることができてよかったし、これから育てていく種の成長も見守っていければ」と話していた。