中心市街地に秋の恵み きょうまで市産業まつり 食をはじめ魅力発信多彩に(別写真あり)

▲ 「さんまのまち」の心意気を示した炭火焼き提供

 第41回大船渡市産業まつり(同実行委主催)は8日、大船渡町の大船渡駅周辺地区(おおふなぽーと前)で開幕した。出展・出店数は70団体と昨年よりも21団体増え、秋の恵みをそろえた飲食・物産販売や工業展など、幅広い角度から地場産業の魅力を発信。「さんまのまち大船渡」の心意気を示そうと行った炭火焼きの無料提供も人気を博し、好天の下で活気に包まれた。9日も午前9時30分~午後3時に開催される。(佐藤 壮)

 

開幕直後から多くの人々が来場

 開幕セレモニーでは、実行委員長を務める渕上清市長が「東日本大震災の復興の象徴である場で開催できる。復興した市の姿と、中心市街地のにぎわいを肌で感じてほしい」とあいさつ。餅まきも行われ、来場者の歓声が響き渡った。
 特設ステージでは引き続き、大船渡東高校太鼓部やダンスユニットの「2WING」、大船渡高校吹奏楽部による演奏や踊りが繰り広げられ、若いエネルギーが会場を盛り上げた。
 今年は飲食・物産販売コーナーは32団体(前年比12団体増)、銀河連邦・友好都市物産展コーナーは9団体(前年と同じ)、協賛・工業展コーナーは29団体(前年比9団体増)が参加。昨年以上に多彩な販売や展示、体験がそろい、活気が生まれた。
 物産販売では、盛川漁協が養殖に取り組んでいる「フレッシュサーモン」のフィレを初めて販売。工業展では、越喜来の平田木工所が、第54回全国建具組合展示会での入賞作品をはじめ繊細な組子技術を生かした品々を並べ、関心を集めた。山形県最上町など友好都市の販売コーナーにも列ができた。
 また、おおふなぽーと内では、ワカメのつかみ取り企画が人気。市地域おこし協力隊やいわて男女共同参画サポーターの会気仙ブロックなどの企画もにぎわいを呼び込んだ。マイバッグ推進キャンペーンやILC、起業関連のアピールも行われた。
 屋外でのサンマの炭火焼き提供は500匹を用意し、整理券配布は開始から35分で終了する盛況ぶり。今年も厳しい漁況となっているが、市観光物産協会から認定された「焼き師」がじっくりと熱を入れて仕上げ、大船渡の心意気を示した。
 開幕1時間前の午前8時30分から来ていたという遠野市の中村亮助さん(72)は「産業まつりは何回か来ているが、今年は一緒に来た孫やひ孫にサンマを食べさせたかった。今までは、新型コロナウイルスの影響でなかなか一緒に外出できなかったのでうれしい」と話し、笑顔を見せた。
 この日は朝方から青空が広がる行楽日和となった。訪れた人々は、須崎川親水広場で開催された三陸芸能大発見サミットをはじめ周辺でのイベントも楽しんだほか、「みなとオアシスおおふなとスタンプラリー」などを通じて各地を巡り、秋のさわやかさを満喫していた。
 9日も午前9時30分から、太鼓やもちまきをはじめ多彩なステージイベントを予定。午後1時30分からは「さんま大漁旗コンテスト」の表彰式も実施する。サンマ500匹の炭火焼き無料提供は、午前9時から先着500人に整理券を配布する。
 産業まつりは、市内で生産された特産品や工業品等を公開展示・販売し、市民の地場産品に対する理解を深め、需要を促すとともに、地場産業の発展につなげようと毎年開催。令和2、3年は新型ウイルスの影響で中止したが、昨年3年ぶりに復活し、会場も見直した。
 コロナ禍前は、盛町の市民体育館を主会場としていたが、実行委ではキャッセンエリアへの活気創出を重視。さらに、全国の花火師が腕を競う三陸花火競技大会が8日に陸前高田市で開かれ、駅周辺の宿泊施設利用が多いことから、今年も相乗効果を狙う日程を組むなど、柔軟に企画を練りながら誘客を図っている。