ワタミ農業パークのソーラーシェアリング 待望のブドウ初収穫 200㌔見込む ワイン原料に使用へ

▲ ブドウの収穫作業に励む清水代表取締役

ブドウ苗の上に設置されている太陽光パネル

 陸前高田市気仙町の農業テーマパーク「ワタミオーガニックランド」が農業と太陽光発電を同時に行う「ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)」事業で育てているブドウが、栽培後初となる収穫期を迎えた。東日本大震災の津波浸水エリアで、ゼロからワイン造りに挑戦するプロジェクトとして始動し、3年目で待望の結実となった。今季収量は約200㌔を見込み、ワイン醸造後、事業を支える市内外のワインオーナーに発送する。発電は昨年12月に開始し、ランド内で自家消費してエネルギー循環を推進していく。(高橋 信)

 

 事業用地は同ランドモデルエリア(約3・3㌶)内にあり、広さは0・7㌶。収穫は今月初旬に始まった。
 作業最終日となった18日は、同ランドを整備した外食チェーン大手・ワタミ㈱(本社・東京都、渡邉美樹代表取締役会長兼社長)の取締役副社長で、ワタミオーガニックランド㈱の清水邦晃代表取締役が、現場スタッフと一緒にブドウを摘み取った。
 清水代表取締役は「社員が一生懸命育ててくれて、ようやく第一歩です。まだ小さい実もあるけど純粋にうれしい」と汗をぬぐった。
 ブドウ栽培は、同ランドが開業した令和3年に始めた。当初は用地全体に土を敷く露地栽培を検討していたが、ポットで育てる「根域制限栽培」を採用。「マスカット・ベーリーA」の1品種を主軸に、苗1200本を栽培している。
 年会費1万円を払えば、現地で育てたブドウで造ったワインが届く「ワインオーナー制度」を導入。醸造は近隣市のワイナリーに委託し、今季は720㍉㍑入りの200本を製造する。来年2月ごろ、同制度の会員約180人に順次発送する。
 ブドウ苗の上に設置した太陽光パネル(縦1・8㍍、横1㍍)は1536枚。年間発電量は、およそ100世帯分の年間消費量に相当する約50万㌔ワットアワーで、バーベキュー棟など園内で使用している。余った電気は地域電力会社「陸前高田しみんエネルギー㈱」に売電する。
 ブドウの収量目標は、当面1㌧を掲げる。市によると、市内でソーラーシェアリング事業を導入しているのは同ランドのみ。来年度はモデルエリアの東側を使い、ソーラーシェアリング事業地を拡大する。
 同ランド農業部門を担当する鈴木空慈さん(23)は「ブドウ栽培はスタートラインに立った段階で、課題は多いが、伸び代と捉えて発展させていきたい。年々、味や収量を向上させていくことで、オーナー会員にワインの味の変遷を楽しんでほしい」と意気込む。
 同ランドは「命と循環」をテーマにした体験型の農業テーマパーク。事業面積約23㌶のうち、3年春、先行整備したモデルエリアが開業した。
 野菜の収穫体験や手ぶらでバーベキューを楽しむことができ、教育旅行を含む来園者数は本年度、約1万人を見込む。今年8月にはモデルエリア北側で、野外音楽堂エリア(約3・3㌶)がオープンし、同ランドは市との共催で高校生のダンス大会開催を構想している。
 清水代表取締役は「ソーラーシェアリングを含むこの地での『命と循環』の仕組みを、ワタミモデルとして全世界に発信していく。そうした取り組みを通じて陸前高田の復興、交流人口拡大、地域活性化にもつなげたい」と力を込める。