生徒一丸、最後の文化祭 統合控える世田米、有住両中
令和5年10月24日付 1面


住田町の世田米中学校(遠山秀樹校長、生徒57人)は21日、有住中学校(村松正博校長、生徒37人)は22日、それぞれ文化祭を開催した。両校は本年度末で閉校し、来年度に新設統合するため、各学校での文化祭は今回が最後。準備段階から一丸となって文化祭をつくり上げてきた生徒たちは、多くの保護者や地域住民、来賓を前に母校への感謝を込めて合唱を披露するなど、最後の文化祭を盛り上げた。(清水辰彦)
両校の文化祭は、新型コロナウイルス感染拡大の影響によって令和2年度から4年度までは入場制限が設けられてきたが、今年は4年ぶりにコロナ禍前の形で通常開催された。
このうち、「個性で戦え~世中Last stage」をスローガンに掲げた世田米中では、開祭式後、1~3年生がそれぞれ文化祭に向けて練習してきたダンスなどを学年ごとに発表。続いて、総合文化部の生徒たちが大正琴で『ラデツキー行進曲』『世界に一つだけの花』などを奏で、涼やかな音色を会場に響かせた。
合唱発表では、1年生が『君をのせて』、2年生が『あなたへ』、3年生が『愛にできることはまだあるかい』を、全校合唱では『糸』を披露。最後となる文化祭へ思いを込めて歌声を重ねた。
全校合唱でソプラノパートリーダーを務めた菊池真由さん(3年)は「2カ月ほど練習してきたので、ベストな状態で合唱できる。最後にふさわしい合唱で、見ている人に感動を届けたい」と話し、ステージに立った。
このほか、校舎内には書写や木工作品なども展示され、来校者が生徒たちの創作活動の成果をじっくりと鑑賞していた。
一方、有住中学校の文化祭は「有終完美~咲き誇る個性の花~」をスローガンに、一人一人の個性を生かし、それぞれが主役となって文化祭をつくり上げた。
恒例の演劇では、学年ごとに個性あふれる演目で来場者を魅了。このうち、3年生の演目『悪魔のささやき、天使のぼやき』は、「新米天使が悪魔スクールへの潜入捜査を通して、天使・悪魔のさまざまな一面を知りながら成長していく」というストーリーで、深いメッセージ性がありながらも笑いを交えた演劇に、観衆も引き込まれていた。
主役を務めた及川倖弥さん(3年)は「今まで劇で主役をやったことがないので緊張するが、仲間と最高の劇ができるよう、練習してきたことを出し切りたい」と語り、ステージで熱演。劇を見守った保護者らから大きな拍手が送られた。
フィナーレの合唱では『世界に一つだけの花』『あの鐘を鳴らすのはあなた』『満月の夕』などを歌い上げ、最後の文化祭で大きな思い出を刻んだ。
世田米、有住両中学校は令和6年4月に新設統合し「町立住田中学校」となる。校舎は当面、世田米中校舎を使用していく。