将来の提言にもつなげる 商議所青年部が「海来(みらい)会議」 市職員と初の 意見交換会(別写真あり)

▲ 大船渡商工会議所青年部のメンバーと市職員が、デジタルを活用した地域振興などに関して意見交換

 大船渡商工会議所青年部(米谷直会長、大船渡YEG)は25日、大船渡町のまるしちザ・プレイスで「海来会議」を初開催した。大船渡市役所のデジタル創生研究プロジェクト・チームのメンバーらと会員が懇談し、DX(デジタル・トランスフォーメーション=デジタル技術を活用した業務・組織・風土の改革)をどう生かせば、市の商業、観光、教育、市役所窓口業務をより良いものにしていけるかについて意見交換した。大船渡YEGは今後も年1回程度同様の会議を開催することで、市に対する政策提言や官民協働の土台づくりをしていきたい考えだ。(鈴木英里)

 

 この日は、市の若手職員らで構成され、地域課題解決につながるデジタル技術の活用などに関して検討・研究を進める同プロジェクト・チームのメンバーと、大船渡YEGの会員ら合わせて約30人が参加。商業、教育、観光、窓口DX――の4グループに分かれ、それぞれの分野の現状と課題、今後の展望についてディスカッションを行った。
 このうち教育分野からは、「タブレット端末を用いたICT(情報通信技術)を活用することで、習い事や塾、部活動などにおいて中央との格差を埋めていける」というメリットが挙がるとともに、学校教員の負担やICT支援員の不足についても、「オンラインでの研修やクラウドを利用すれば解消につなげられる部分もあるのでは」と提言があった。
 観光分野のグループは、デジタル化が進んでいない市の現状を指摘。体験型観光の予約がほとんどネットではできないことや、観光案内に関するサイトが市と観光物産協会の二つあり、情報が一元化されていないといった問題点が挙げられた。
 一方、「目的地と出発時間を入力すれば、どの公共交通に何時に乗ればいいかや、経由地などまでコーディネートしてくれるような技術の登場も、すでに〝夢物語〟ではなくなっている」などと、他地域との差別化を図るうえで有用なテクノロジーの紹介もあり、参加者が「官民の垣根を取り払えば、もっとやれることがある」という意見で一致した。
 市企画政策部企画調整課の石橋一宏企画係長は、「普段なかなか聞くことのできない、民間の皆さんの生の声を聞くことができた。歯にきぬを着せない率直なご意見もあり、市職員にとって貴重な機会になった。地域全体のDXを見据えながら一緒に取り組んでいけたら」と語った。
 商工会の全国組織である日本商工会議所青年部は、国を良くしようと考えるYEG会員と国家公務員が〝風通しよく〟ざっくばらんに語らえる場として、定期的に「風会議」を開催。大船渡YEGの「海来会議」はこの地域版として、同政策提言委員会(松岡研二委員長)が本年度初めて企画した。
 同委員会は、市の活性化のために市職員と会員が定期的に意見交換し、互いに風通しのよい関係性を構築することで、将来的に政策提言へとつなげていきたい考え。
 米谷会長は「初回ながら大変に盛り上がった。こういう会議を積み重ねていくと、行政と民間、それぞれにやるべきことが見えてくるのではないか。次年度以降も継続的に実施していきたい」と話していた。