気仙は10㌔平均7万9503円 県漁連で11月分アワビ事前入札会 4漁協上場、前年同期比で26%下落
令和5年10月27日付 1面

県漁業協同組合連合会は26日、気仙地区分を対象とした今年第1期(11月分)のアワビ事前入札会を開いた。水揚げ予定数量は18・5㌧、10㌔当たりの平均価格は7万9503円で、前年の10万7000円台から26%下落した。アワビは海外市場の動向を受けやすく、東京電力福島第一原発の処理水海洋放出に伴う中国の禁輸措置の影響などが懸念されていた。気仙は来月、4漁協で開口を予定しており、漁況が注目される。(佐藤 壮)
第1期の漁は11月1日(水)に解禁となり、各漁協によって波の状況などを見定めながら開口日が設けられる。
気仙分の予定数量合計は18・5㌧で、前年比0・9㌧の増。10㌔当たりの平均価格は7万9503円で、前年を2万8216円下回った。
平均価格の最高値は、昨年に続き吉浜漁協(専属)の9万3000円。昨年を3万2000円下回った。
近年の気仙地区の第1期入札結果の平均をみると、平成28年が6万円台、29年が7万円台となり、30年は不漁傾向を反映して10万円台に上昇。令和元年は11万円とさらに上がった。
3年前は新型コロナウイルスの影響で、干鮑の香港市場や生食が流通する国内市場とも引き合いが弱く、7万円台まで低下。2年前は上昇に転じ、昨季は令和元年に近い水準の高値となった。えさとなるコンブの繁茂が比較的良好だったことによる成育面の期待や、近年の品薄傾向、さらに香港をはじめ海外市場の動向も反映したとみられる。
昨季における気仙沿岸の漁獲実績は第1期(11月)と第2期(12月)の合計で、前年度比29%増の18・81㌧。入札価格や数量増に伴い、金額(1号品)は1期が9720万円、2期が1億1472万円で計2億1191万円。1億2900万円だった前年度を大きく上回った。
今年は漁協関係者から「アワビは見える」との声が聞かれる半面、福島第一原発の処理水海洋放出開始による風評被害の影響が懸念される。中国は日本産水産物の輸入を停止。アワビの主力市場である香港も、国内10都県の水産物輸入を禁止しているが、岩手県は対象外となっている。
こうした状況を受け、今回の入札前には関係者から「どのような動きになるか分からない」「例年、香港で仕入れて中国に流通する分もあるほか、香港自体の景気にも左右される。昨年までの品薄感とは違う」などの声が出ていた。
気仙の5漁協のうち、綾里は11月分の上場を見送った。「資源管理の観点から」とし、12月は上場を予定している。
同1日(金)からとなる第2期分の入札は11月30日(木)に行う。気仙地区の漁協ごとの第1期分入札価格(10㌔当たり)、予定水揚げ数量、口開け回数は次の通り。
【広田湾漁協】
▽気仙=6万6890円、0・2㌧、1回
▽小友只出=8万円、0・6㌧、2回
▽広田1区=7万1000円、2㌧、2回
▽同2区=8万3000円、2㌧、2回
▽同3区=8万3000円、2㌧、2回
【大船渡市漁協】
▽末崎=6万7500円、3㌧、2回
▽赤崎=7万3890円、2・5㌧、2回
【越喜来漁協】
▽専属=8万500円、1・2㌧、1回
▽入会=8万5500円、1㌧、1回
【吉浜漁協】
▽専属=9万3000円、3㌧、2回
▽入会=8万7100円、1㌧、1回