被災地から防災対策学ぶ 独のラインラント・プファルツ州 代表団が来市し視察(別写真あり)
令和5年10月28日付 1面

県と交流があるドイツのラインラント・プファルツ州のマル・ドライヤー州首相ら代表団は27日、陸前高田市を訪問した。一行は高田松原津波復興祈念公園に足を運び、東日本大震災津波伝承館などを視察。佐々木拓市長らとも懇談し、震災被災地の防災対策を学び、復興状況にも理解を深めた。
同州は、ラインラントとプファルツという別々の行政単位からできており、第2次世界大戦後のフランス占領下で両地域と周辺地域を統合して昭和21年に成立した。
平成6年、県内の民間団体が州立大学の学生受け入れを開始。これを契機に、11年には県と「協力と交流の目的に関する基本合意書」を結んだ。震災の際には、岩手の復興を願って義援金3631万円が届けられた。
こうした縁もあり、岩手の防災対策を学びたいと、州関係者らからなる代表団28人とクレーメンス・フォン・ゲッツェ駐日ドイツ連邦共和国特命全権大使が、26~28日の2泊3日の日程で来県。陸前高田市には、県沿岸部視察の一環で訪れた。
一行は復興祈念公園に赴き、「献花の場」でドライヤー州首相とゲッツェ駐日大使が黙とうをささげ、震災犠牲者らを追悼。「海を望む場」にも足を運び、高田松原や復興事業が行われた市街地の様子を眺めた。
その後、震災津波伝承館を訪問し、解説員による英語のガイドを受けながら視察。津波で被災した展示資料を間近にしたほか、復旧・復興の歩みなどにも理解を深めた。
国営追悼・祈念施設のセミナールームでは懇談会が開かれ、市が復興の取り組みを、県が大雨被害に備えたハザードマップについて紹介。代表団のメンバーらは質問も交えながら、熱心に防災対策を学んだ。
懇談を終えたドライヤー州首相は、「震災の後、市民らとともにあれだけの復興を成し遂げ、新しい故郷をつくりあげたことはとても素晴らしい。ドイツでも洪水で甚大な被害を受けており、皆さんから防災についていろいろ学びたいと思っていた。県のサポートにも改めて感謝したい」と語った。
佐々木市長は「いつまでも被災地を気にかけてくれることが、本当にうれしい」と述べ、代表団の温かい思いにも感謝していた。