蛸ノ浦、下船渡貝塚国史跡指定から90年 大船渡市立博物館で特別企画展(別写真あり)

▲ 国史跡指定90周年を記念した特別展がスタート

「発掘物語」より身近に

 

 大船渡市立博物館(鈴木満広館長)で28日、特別企画展「蛸ノ浦貝塚・下船渡貝塚 発掘物語」が始まった。両貝塚が来年1月22日(月)に国史跡指定90周年を迎えるのに合わせて企画。昭和30年代に行われた発掘調査の様子を伝えるほか、下船渡貝塚関連資料の多くは同館では初公開。大船渡湾に面した両貝塚の奥深さや、発掘当時の風景に触れることができる。展示は1月21日(日)までで、12月3日(日)には解説会も開催され。(佐藤 壮)

 

 館内特別展示室では、蛸ノ浦、下船渡各貝塚の資料や発掘当時の写真などを公開。約350点を展示している。
 赤崎町の蛸ノ浦貝塚は縄文時代前期末~中期(約5200年~4000年前)で、貝層の厚さは2㍍に及び、貝塚の規模は日本屈指とされる。昭和32年に早稲田大の西村正衛氏らが発掘調査を行い、同56年の市教委による再調査では、貝層のはぎ取りが行われ、博物館に常設展示されている。
 特別展では、同年調査時の出土品を中心に紹介し、マグロの骨やホタテの貝殻などは〝大物〟が目立つ。岩場で取れる貝類の多彩さをはじめ、当時の豊かな魚介類に恵まれた海の環境を静かに伝える。
 また、同32年の調査時の写真は、調査員の道具や服装に加え、貝塚周辺の風景も関心を集める。木々がなく、大船渡湾を一望することができ、魚群を目にして漁に出るといった縄文人の暮らしぶりにも想像が広がる。貝殻など出土品の一部に直接触れるコーナーも設けた。
 大船渡町の下船渡貝塚は縄文時代後期中葉~晩期(約3500年~2200年前)で、国道45号に面している。昭和35年のチリ地震津波に伴う国道移転を受け、翌年に慶應義塾大の江坂輝彌氏や岩手大の草間俊一氏らが発掘調査を実施。出土品は長らく市外で保管されていたが、20年ほど前に市内に移された。石でできた矢じりや土器、動物の骨などが並ぶ。
 さまざまな獲物を求めて狩りや漁に出ていたことが分かる資料が多く、道具の進化や気候の変化もうかがえる。調査活動当時の写真も並び、調査で出てきた人骨を供養する女性住民の姿なども紹介している。
 同館の工藤やよい主任学芸員は「貝塚それぞれにストーリーがあり、違った特色や魅力がある。現地に行っただけでは分からないこともあると思うが、調査活動で出たさまざまなものを展示しているので、地域のことをより深く知るきっかけになれば。風景写真でも、懐かしさを感じられる方は多いのではないか」と話す。
 開館時間は午前9時~午後4時30分で、受け付けは同4時まで。毎週月曜日と年末年始の12月29日(金)~1月3日(水)は休館。
 入館料は高校生以下は無料で、一般は300円。ただし「東北文化の日」に合わせ、今月29日と11月3日(金・祝)は無料となる。問い合わせは同館(℡29・2161)へ。
 90周年事業として、同12日(日)午後1時からは、盛町のリアスホールで市教委主催の講演会「東北地方縄文中期・後期の文化と社会~岩手県遺跡の事例から考える」が開かれる。講師には早稲田大文学学術院教授の高橋龍三郎氏を招く。
 同26日(日)には蛸ノ浦貝塚などを見学する文化財めぐり「貝塚の現地を歩く!」を実施。講師は日本考古学協会員の金野良一氏が務める。いずれも問い合わせは市教委教育総務係(℡27・3111)へ。