平穏な日々へ願い込め 米崎町松峰 天照御祖神社の式年大祭

▲ 神社境内での獅子舞奉納に臨む町民ら

 陸前高田市米崎町松峰に鎮座する天照御祖神社(松峯誠和宮司)の式年大祭は28日、同町内で催行された。同神社境内や御旅所での余興奉納、神輿渡御などが繰り広げられ、参加した地域住民らが平穏な日々を過ごせるよう祈念した。
 約800年の歴史があるとされ、町民からは「松峯神社」と呼ばれ親しまれている同神社。式年大祭は、五穀豊穣や家内安全、大漁などを祈願し4年に1度行われており、東日本大震災前は6地区余りの祭組が参加し、余興の獅子舞や手踊りなどを奉納していた。
 震災が発生した平成23年は開催を見送り、27年は三つの祭組(上浜田、下浜田、脇の沢)が参加して復活。人口減少や高齢化などにより手踊りの奉納を見合わせる状態が続く中、令和元年は初めて脇之沢漁港での曳船(海上渡御)を実施し、地域活性化への祈りを込めた。
 今回の大祭には、前回と同様に3祭組が参加。穏やかな日和に恵まれた中、同神社社殿では例大祭の祭儀が執り行われ、役員や総代らが玉串をささげて地域の平穏無事を祈った。
 次いで、神社境内で各祭組が余興を奉納。幅広い世代の住民が参加し、この日に向けて練習してきた獅子舞を神前で披露して、催事に花を添えた。
 その後、約100人による神輿行列が御旅所の脇之沢漁港へと移動。多数の大漁旗が掲げられた同漁港では、神輿を乗せた漁船が漁港内や周辺を回る海上渡御が挙行されたほか、獅子舞奉納で活気づいた。
 同漁港をあとにした一行は、高台の市営住宅脇の沢団地前などを通り、2カ所目の御旅所の米崎小学校へ移動。道中は、待ち受けていた町民らが神輿渡御の参加者や各祭組関係者と明るいあいさつを交わし合う場面も見られた。
 獅子舞奉納に参加した下浜田祭組の長野聖那さん(米崎小6年)は「みんなで心を一つにし、うまく踊ることができた」と達成感に満ちた表情。
 式年大祭実行委員会の金野茂実行委員長(77)は「天気が心配されたが、秋晴れに恵まれ、無事にこの日を迎えられることができた。多くの子どもたちに参加してもらい、よい思い出として記憶してくれればうれしい。住民に親しまれているこの行事が、これからもずっと続くように」と願っていた。