長年の奉仕活動に光 秋の褒章 「せきれい」が受章
令和5年11月2日付 1面

政府は、3日付発令の令和5年秋の褒章受章者を発表した。受章者は全国で26団体684個人、県内で2団体6個人。気仙からは、大船渡市盛町の市総合福祉センター内で「声の福祉図書館」を運営するボランティアグループ「せきれい」(金野聰子会長、会員20人)が唯一受章し、長年にわたり社会に奉仕する活動に従事した団体として褒状(緑綬)が授与される。
「せきれい」は昭和63年に設立。同図書館内で所蔵する録音図書(カセットテープ、CD)の貸出業務に加え、平成5年1月からは「声の雑誌『せきれい』」の発刊にも取り組んでおり、先月末に発送した令和5年11月号で360号を迎えた。
声の雑誌は、会員が新聞記事や気仙の情報、物語、詩・短歌をCDなどに録音したもので、2年ほど前からは最初と中間と最後にそれぞれ音楽を追加するといった工夫も。現在、22の個人や施設が楽しんでいる。
視覚障害のある高齢者が入所する猪川町の養護(盲)老人ホーム「祥風苑」を訪問し、入所者の希望に応じて詩やエッセー、新聞・雑誌の記事などを読み聞かせる活動も実施。コロナ禍で訪問がかなわなくなってからも、施設で毎月2回開かれている短歌教室の作品を録音したCDを贈ったり、オンラインでの朗読交流会を開催したりと、変わらず寄り添い続けている。
先月下旬には盛岡市の県立視聴覚障がい者情報センター(アイーナ内)で行われた研修に会員8人が参加し、正しいアクセントの確認や伝わりやすい読み方といった朗読のスキルアップに励んだ。声の雑誌の収録に使用している機材を新しくする際の参考にさせてもらおうと、同センター内の収録施設も見学したという。
今回の受章を受け、金野会長(84)は「大変ありがたく、感激している。会員の皆さんをはじめ、諸先輩方のおかげで受章の栄に浴することができた」と周囲に感謝。「これからも目の不自由な方々のお気持ちを想像しながら寄り添い、暮らしの中で喜び、感動していただけるお話の内容と、それを伝える読み方を模索しながら進んでまいりたい」と決意を新たにしていた。
せきれいでは今月、祥風苑との交流会を予定している。新規会員も随時募集中で、金野会長は「目の不自由な方々の趣味や社会参加へのお手伝いに賛同していただける方がいたら、私たちの活動にぜひご参加を。会員一同お待ちしています」と呼びかける。
問い合わせは、毎週水曜日の午後1時~3時に同図書館(℡26・3500)へ。