令和7年4月に統合へ 大船渡と末崎両中学校 推進協で合意 校名などは引き続き調整
令和5年11月2日付 1面

大船渡市の大船渡中学校と末崎中学校の統合に向けた第2回大船渡・末崎地区学校統合推進協議会は10月31日夜、大船渡町のおおふなぽーとで開かれた。両校を閉校し、新たな学校をつくる「新設統合」を進める中、統合時期は「令和7年4月」で合意に至った。校名協議では「大船渡」を求める声や「大船渡南」など新たな校名を望む意見があり、それぞれ部会に分かれて校名への思いなどをまとめる時間も設けられた。校名は引き続き次回協議会で話し合うほか、制服や運動着を新しくする場合の対応といった具体的な準備も本格化する。(佐藤 壮)
協議会は大船渡、末崎両地区の小中学校保護者代表、未就学児童の保護者代表、地域における公共的団体の役員ら22人で構成。9月26日以来の開催で、この日は委員18人に加え、オブザーバーを務める両地区内の小中学校長、市議が出席した。
小松伸也教育長は「子どもたちのために英知と情熱を結集し、よりよい学習環境に向けてきたんのない意見を」とあいさつ。推進協の川原夕輝会長(大船渡中PTA会長)は「しっかり協議をしながら進めていきたい」と述べた。
引き続き、統合時期について協議。前回は、これまで小中学生の保護者を対象としたアンケート回答で多かった「来年4月」は見送る方針で一致し、出席者からは「令和7年4月」が多数を占めた一方、末崎地区側で地区内協議の場を設けたいとの意見が出ていた。
同地区メンバーの一人が「結論とすれば、7年4月の統合で、一応の合意となった」と説明。そのうえで「8年4月の考え方もあった」とし、統合に不安を抱える保護者らのケアや閉校に向けた記念誌の作成期間、残り1年半しかないことに対する不安・戸惑いが話題になったことも触れた。その後、推進協として「7年4月」の統合を決定した。
これにより、現在の中学2、3年生は大船渡、末崎の各中学校から卒業し、1年生が3年生になる時に新設校が誕生する。校舎は、市がまとめた小中学校適正規模・適正配置基本計画に基づき、現在の大船渡中となる。
校名に関する議論では、出席委員一人一人が発言。大船渡側は「大船渡中」を望む声が多数を占めたが、他の校名案があればそれをもとに判断する考えの委員も見られた。末崎側では「大船渡中がいいのでは」といった声に加えて「新設校であり、新しい名称を。『大船渡南』ではどうか」との意見が出た。
川原会長は、校名に込める思いをしっかりとまとめる必要性を強調。協議後は「大船渡中」を望む委員と、「大船渡南」を含めた新しい名称を考えている委員が部会として分かれ、話し合う時間が設けられた。次回は20日(月)に予定しており、引き続き校名の協議に入る。
協議会では事務局から、制服や運動着を新しく選定する場合の流れも示された。来年3~5月をめどに一定の方向性を決めなければならず、制服部会の設置を確認。メンバーはPTA関係者の委員と、両中学校の学校長で構成する。
また、統合後は、末崎地区生徒の通学支援策として、スクールバス運行が予定されている。市教委は29人乗りマイクロバス3台による運行を見据える一方、委員からは「冬場に坂道を上れない時などの対応をしっかりと」といった意見が出た。市教委では委員に対し、通学路で不安がある場所の情報提供などを求めている。
適正規模・適正配置基本計画は、児童・生徒数の減少に伴い、適正な学級数確保などを見据えて平成29年に策定し、令和4年に一部改訂した。3年度まで5年間を前期、4~8年度を後期とし、学校統合の検討・実施時期などを掲げる。
中学校は令和2年春に日頃市、越喜来、吉浜が閉校し、第一と統合。さらに3年春には赤崎と綾里が閉校し、新設校の東朋中が誕生した。大船渡と末崎の統合で、策定前は8校だった市内の中学校数は3校となる。