タイム缶詰(陸前高田)が優秀賞に 県ふるさと食品コンクール 気仙の3品が入賞果たす
令和5年11月3日付 2面

県による「岩手ぅんめえ~もん!!グランプリ2023(令和5年度県ふるさと食品コンクール)」の表彰がこのほど行われ、気仙からは3品の加工食品が入賞を果たした。このうち、㈱タイム缶詰(吉田和生代表取締役、陸前高田市矢作町)の「番屋風蒸し牡蠣水煮缶」は優秀賞に、㈱阿部長商店大船渡食品(阿部泰浩代表取締役社長、大船渡市大船渡町)の「大船渡港町のととバーグ デミグラス味」は優良賞に輝き、それぞれ地場産品を生かした商品づくりの継続を誓っている。(三浦佳恵)
コンクールは、県内の6次産業化や農商工連携を推進するため、県産農林水産物を利用した加工食品を対象に実施。本年度は、自ら生産した農林水産物を用いる「6次産業化部門」に7点、県産農林水産物を使った「農商工連携部門」に14点、「学校部門」に3点の計24点が出品され、審査で最優秀賞などの各賞を選んだ。
優秀賞を獲得したタイム缶詰の「番屋風蒸し牡蠣水煮缶」は、農商工連携部門でエントリー。東京都中央卸売市場・豊洲市場で高い評価を受ける広田湾産カキのおいしさを缶詰にしたいと、小友町にあるマルテン水産の協力を受けて開発した。
原料には、栄養豊富な雪解け水を含んだ大粒の〝春ガキ〟を使用。美味でありながらも市場では価格が下がってしまうといい、「この問題を何とかしたかった思いもあった」と吉田代表取締役(63)は開発時を振り返る。
生産者らにも試食をしてもらいながら試作を重ね、カキ小屋からヒントを得て殻付きカキを蒸してから缶詰にしたところ、太鼓判を得た。大ぶりのカキには北限のゆずをアクセントに合わせ、カキ本来のうまみが味わえる一品に仕上げた。
コンクールでは、岩手から世界に発信したい加工食品として、特別賞「uNME~MON!!賞」にも選出。吉田代表取締役は「自信を持っていた商品だったので、受賞はすごくうれしかったし、まだ知られていない春ガキのおいしさも発信できた。今後も三陸、気仙の食の魅力を缶詰にすることで、地域の1次生産者の役に立つ商品づくりに努めたい」と誓いを込める。
6次産業化部門に出品し、優良賞に選ばれた阿部長商店大船渡食品の「大船渡港町のととバーグ デミグラス味」は、同社の若手社員4人が開発。商品名の〝とと〟は魚を意味し、近年漁獲量が減り、サイズが小さくなっているサバを有効活用しようと誕生した。
若い世代に食べてもらえるようにと、魚の臭みを抑え、肉のような食感を目指した。デミグラスソースとの相性も合うよう試行錯誤を重ね、商品化にこぎ着けた。
開発チームでリーダーを務めた木村七海さん(30)は「チームの皆さん、現場の方々のおかげで商品化でき、優良賞も獲得できた。受賞を機に、さらに多くの方々に食べてもらいたい」と話していた。
気仙ではこのほか、㈱地域活性化総合研究所(福山宏代表取締役社長、大船渡市盛町)の「ピーマンティー」が、子どもにも親しんでもらえるような加工食品に贈られる特別賞「食育賞」に選ばれた。