地域の力結集し活気 熊野神社の式年大祭 末崎町神坂 伝統の余興を奉納

▲ 高さ約16㍍のはしごの上で勇壮な舞を披露した「平組はしご虎舞」

 大船渡市末崎町字神坂に鎮座する熊野神社(宮﨑和貴宮司)の式年大祭は『文化の日』の3日、神社境内とシーサイドパーク細浦を主会場に行われた。参加した町内の8祭組が、日々の平穏を願ってはしご虎舞をはじめとする伝統の余興を奉納し、地域の力を結集してまちに活気を呼び込んだ。(菅野弘大)

 

 同神社は鎌倉時代に紀州熊野権現を勧請したのが始まりといわれ、五穀豊穣や大漁安全などを祈願する式年大祭は4年に1度、秋に行われている。東日本大震災があった平成23年は開催を見送り、27年から伝統継承と津波犠牲者の鎮魂の思いで再開し、今回が震災後3度目の挙行となった。
 今年も祭典実行委員会(梅澤肇委員長)を組織し、峰岸、細浦、船河原、神坂、小田、平、小細浦、中野の8祭組が参加。天気にも恵まれ、大勢の住民が足を運んだ。

 各祭組は神社前で虎舞や権現様、手踊りを奉納。祭りの呼び物で市の無形民俗文化財に指定されている「平組はしご虎舞」は、雲一つない青空のもと、高さ約16㍍のはしご上で躍動感あふれる舞を披露し、見上げる観衆を魅了した。
 神社での神事に続き、各祭組とともに神輿渡御行列が神社を出発。水産会社や飲食店などが立ち並び、4年前とはまた違った景色が広がる中、震災を乗り越え人々のなりわいが再生した町内を練り歩いた。
 御幸所となった「シーサイドパーク細浦」では、各祭組が連夜練習を重ねてきた成果を舞台で披露。

細浦祭組では約16年ぶりに手踊りが復活

 このうち、細浦祭組は、震災の影響で途絶えていた手踊りを、平成19年の大祭以来、約16年ぶりに復活させ、踊りの遠藤和子さん=立根町=の指導で練習に励んできた。余興奉納では、虎舞に続いて幅広い世代がそろいのはんてんを身につけ『輪!諸居(わっしょい)にっぽん』の曲に合わせて、元気あふれる舞で活気をもたらした。
 手踊りに参加した細浦祭組の梅澤真美さん(41)は「式年大祭では久しぶりの手踊り披露で、毎晩の練習も楽しく取り組んできた。幅広い世代が『楽しもう』との気持ちで盛り上がり、細浦祭組の勢いを見せられたと思う」と笑顔で話した。
 各祭組の余興をにこやかに見守った宮﨑宮司は「こうしたお祭りは、地域コミュニティーの結束を生み出す最高の機会。少子高齢化などで人員確保なども大変かと思うが、地域の力が結集した素晴らしい余興奉納だった」とたたえていた。