数量増も「もっと上向きを」 大船渡市魚市場のサンマ水揚げ実績 10月までに前年比1.5倍の2642㌧
令和5年11月5日付 1面
大船渡市魚市場における今季10月までのサンマ水揚げ実績は、数量が2642㌧と前年比で約1・5倍増のペースで推移している。9月までは公海での操業が中心だったが、10月に入ると近年になかった三陸海域での操業が目立ち、水揚げ量が増加。一方、小さい魚体の割合が多いといった背景から価格は伸び悩みが見られるほか、漁場の不安定さを指摘する声もあり、終盤の11月にどこまで積み上げられるか注目される。(佐藤 壮)
市魚市場を運営する大船渡魚市場㈱(千葉隆美社長)などによると、8月は3隻で計18㌧を水揚げし、金額(税込み)は1454万円。9月は24隻で計812㌧となり、金額は4億8599万円となった。10月は97隻で計1812㌧、8億3180万円だった。
10月までの水揚げ総計は数量2642㌧で、金額は13億3233万円。数量では前年実績を49・8%、金額は6%それぞれ上回った。
今季は8月26日に初水揚げがあり、9月後半は100㌧超えが相次いだ。同28日には231㌧に達し、金額も1日だけで1億円を突破。10月には、一気に400㌧を超える日もあった。
9月までは遠く離れた公海に向けた出漁が続き、10月になると三陸海域で操業した漁船が次々と寄港。地元の大型船(199㌧)だけでなく、小型船(19㌧)も接岸し、市魚市場の南側岸壁で水揚げが盛んに行われる盛漁期ならではの光景が広がった。
今季も県内では大船渡に水揚げが集中する一方、10月に入っても「魚体は小さい」「魚場が安定しない。行ってみないと分からない」といった声も。全国的に不漁傾向にある中、数量が増えている割には金額の伸びは小幅にとどまっている。
市内の鮮魚小売業者などで構成する大船渡水産物商業協同組合(新沼哲理事長)は、昨年よりも7日早い9月22日に直送便事業の出荷を始めた。10月までに約8000箱の受注があり、ほとんどの発送を終えた。
ただ、魚体の大きさの見極めなどから、10月中旬までの発送は思うように伸びなかったという。関係者の一人は「前半は不安だったが、今年も何とか出すことができた」と胸をなでおろす。
大船渡で水揚げされるサンマの数量は、令和に入り1万㌧台が遠い状況が続いている。元年と2年は、いずれも6000㌧台前半。3年は5700㌧台の平成11年を大きく下回る2471㌧にとどまり、平成以降では最低水準だった。
4年の水揚げ実績は、数量が前年同期比24%増の3054㌧で、金額は同20%増の19億8554万円。厳しい不漁下ながら数量、金額とも本州トップを維持したほか、地元漁船や水産加工業の積極的な動きから、全国的に見ると増加幅が際立った。
今月に入り、3営業日連続で水揚げがあり、宮古沖~釜石沖など三陸海域で漁獲されたサンマが並ぶようになった。今季の累計数量はすでに前年の9割近くにまで達した半面、昨年は11月だけで1290㌧の水揚げがあっただけに、市場内では「もう少し上向いてほしい」と願いが広がる。
大船渡魚市場の千葉社長は「数字的にはある程度の実績が出ているように見えるが、はっきりした漁場がなく、読みにくい。まとまった量が確保できる主漁場ができる状況を願っているし、引き続き関係者が一丸となって頑張っていくしかない」と話す。






