下水道料金巡り議論 市議会全員協議会 来年4月に引き上げへ

▲ 来年4月からの下水道料金引き上げ方針を巡り議論

 大船渡市議会全員協議会は6日に開かれ、市当局が来年4月からの実施を目指す下水道使用料金改定方針を示した。20立方㍍使用する場合の月額料金は現行の2750円から3476円となり、26・4%の引き上げ。当局側は一般会計からの繰り入れなどが続く厳しい財政状況を示し、理解を求めた。引き上げそのものを明確に反対する議員意見はなかったが、物価上昇が続く中での支援充実や、下水道整備計画の見直しなどが話題となった。
 方針によると、基本料金(税込み)は現行の1540円から616円引き上げて2156円。11~20立方㍍での従量料金は、1立方㍍当たりでは改定前の121円から11円値上げし、132円とする。
 20立方㍍使用の場合、2750円から3476円となり、改定率は26・4%の上昇。市内で下水道事業や漁業集落排水事業による汚水処理が始まり、約30年が経過した中、これまで消費税率引き上げに伴う改定はあったが、事業収支を見据えた改定は初となる。
 当局は12月議会に条例改正案を上程する方針。可決されれば、周知期間を経て来年4月に改定。同年5月徴収から適用される。
 令和4年度末における市内の公共下水道整備人口1万4639人に対し、接続するための配水設備を整えて実際に使用している水洗化人口は1万1153人で、水洗化率は76・2%。三陸町を中心とする漁業集落排水の区域内人口は1004人、水洗化率は62・3%となっている。
 下水道事業は3年度以降、純損失を計上し、収益の多くを一般会計からの繰り入れに依存。今回の値上げで、当局は下水道事業では約8000万円の収入増を見込む。一方、収支の厳しい状況は変わらず、当局側は今後10年間で今回を含めて3回程度の値上げの必要性に触れた。
 議員側の「10年間でどのぐらいまで上げればいいのか」の質問に、熊井勝幸下水道事業所長は「3回目の水準は、20立方㍍使用の場合で4580円程度。このうち基本使用料は2800円程度と試算している」と答えた。
 値上げ以外の収支均衡策について熊井所長は「管渠整備費の縮減を図り、処理場運営にかかる維持管理費削減、接続率上昇にも鋭意努力していく」と述べ、理解を求めた。
 議員からは、食料品や燃料をはじめ物価上昇が続く中、国の財源を生かした住民支援の充実を訴える声も。下船渡分区の整備見通しを分かりやすく示すよう対応を求める意見も出た。
 また、基本計画で掲げる整備面積1137㌶のうち、現在の事業計画整備面積は913㌶。現状では事業計画外となっている末崎の全域や猪川、立根の各一部に関し、市側は合併浄化槽の導入状況や人口密度などを調査し、今後の対応を検討する方針を示した。
 人口減少や高齢世帯の増加が進み、すでに合併浄化槽を導入している家庭も多い中、今後の接続率上昇の見込みを問う議員も。熊井所長は「浄化槽の役割は大きいが、効率の良い汚水処理として下水道整備を進めてきており、今後も早期接続をお願いしていきたい」と述べた。