人里へのクマ出没相次ぐ 例年上回る目撃情報 気仙 イノシシにも警戒必要
令和5年11月9日付 7面
岩手、秋田両県をはじめ、全国的にツキノワグマの人里付近への出没が相次いでいる。気仙3市町には、すでに昨年度1年間を上回る目撃情報が寄せられており、8日現在で人身被害は発生していないが、予断を許さない状況となっている。県や各市町では、被害に遭わないための個々での対策も呼びかけ、十分な注意を求めている。
県がまとめた今年4月から9月までのツキノワグマ出没状況を見ると、全県で3368件。全県的に人里への出没が際立った令和2年度1年間の3316件をすでに上回っている。
また、4月1日から11月1日までの人身被害は40件43人で、過去最多となっている。一戸町で8月に80代女性、八幡平市で10月に70代女性が亡くなった。
陸前高田市に寄せられた目撃情報は、4月から今月1日までで30件。すでに昨年度全体の17件の倍近くに上っている。10月下旬には小友町西の坊地内で、クマと車両の接触事故が発生。今月は竹駒町内でも出没が相次ぎ、5日には同町上壺地内の山林内に設置されている養蜂用の巣箱1個が壊される被害が確認された。
加えて、イノシシへの警戒も必要となっている。10月下旬には米崎町内で親子とみられる4頭が出没したほか、今月1日には日中、高田町の市役所付近などで1頭の目撃情報が寄せられ、その後捕獲した。
イノシシの捕獲頭数は8頭で、昨年度1年間の2頭の4倍に増えた。町別では矢作5頭、横田2頭、竹駒1頭だった。
県は10~11月、人身被害を防止するため、「秋のクマ被害防止キャンペーン」を実施。市も目撃情報が寄せられるたびに防災行政無線やSNSで情報を流し、注意を促している。
市はクマを引き寄せないための対策として、▽収穫後の農作物、家庭の生ゴミを野外に放置しない▽庭先の収穫しないカキやクリなどを放置せず早めに取り除く▽蜂の巣を見つけたら早めに取り除く▽やぶの刈り払い──などを求める。遭遇した場合は▽背を向けずに、落ち着いてゆっくりとその場から離れる▽大声を出したり、走って逃げたりしない──と啓発している。
市農林課の大友真也課長は「クマやイノシシの目撃情報が増えており、引き続き行政無線やSNSを活用しながら注意を促していきたい。誘因物の撤去が重要。市民にはやぶの刈り払いなど隠れる場所をなくし、見通しの良い環境の整備にも協力いただきたい」と呼びかける。
一方、大船渡市内で4月から11月2日に寄せられた目撃情報は109件で、すでに前年度の48件を大きく上回っている。物的被害は4件。9頭を捕獲した。目撃の100件超えは令和2年度以来となっている。
月別にみると、本年度は6月に45件、7月に17件と初夏の時期から多かった。クワの実やタケノコなどを狙って人里近くに出没・執着していたことが考えられるという。10月も11件あったほか、今月も目撃情報が寄せられた。
地区別では、五葉山麓の越喜来をはじめ、三陸町内での目撃が半数以上を占める。市では情報を受けた場合、地区内での防災行政無線で注意を喚起。警察に連絡するほか、登下校の時間だった場合は、学区内の小中学校に対しても注意を促している。さらに鳥獣被害対策実施隊によるパトロール、追い払いも行われる。
市農林課では「11月から猟期に入っており、これまでの対策と狩猟で落ち着いてくれれば」としている。
住田町に寄せられた目撃情報は11月2日現在で41件で、昨年度1年間の37件を上回るハイペースで推移しており、町ではクマを寄せ付けないための対策をはじめ、十分な注意を呼びかけている。






