災害の備え啓発へ一丸 防災マイスター有志組織が活動本格化 市イベントで多彩な体験ブース
令和5年11月11日付 7面

陸前高田市から防災マイスターに認定された有志でつくる市防災マイスターの集い(佐藤健会長、会員40人)は、市民に向けた防災啓発の取り組みを本格化させた。同市で5日に開かれた消防・防災フェスタ(市主催)に初参加し、マイスターのアイデアを結集した体験・展示ブースを設置。災害時に生かせる知識や技術を来場者に伝えた。きょう11日で東日本大震災発生から12年8カ月。各個で活動してきたマイスターたちが団結し、地域防災力の向上を後押ししていく。(高橋 信)
同フェスタはアバッセたかた駐車場で行われ、「マイスターの集い」は衣食住、救護の分野ごとに体験ブースを設置した。
「食」ブースでは簡単に手に入るポリ袋を煮炊き用の袋に使い、非常食を具材にしたサバカレーの調理を実演。担当者がライフライン寸断時でも温かい食事を手軽に取れる手法を披露し、「防災は我慢することではなく、我慢しなくていいようにしておくこと。備えが大切」と伝えた。
家族でブースを回った米崎町の佐藤江里香さん(37)は「普段、防災について考える機会は意外と少ない。こうしたイベントがあると意識するきっかけになる」と話した。
アバッセたかたパブリックスペースには、マイスターの集いが手掛けた展示ブースが設けられた。市内外の13企業・団体が、防災の取り組みをパネルにまとめて展示。ほかに市内中学校2校、小学校8校も学区内ハザードマップや防災学習など自校の取り組みを紹介した。
展示ブースのリーダーを務めた防災マイスターで、気仙町の震災津波伝承館解説員の吉田彰さん(45)=広田町=は「学校や団体などに熱心に協力してもらい、想像以上に内容の濃い展示となった。来年以降もこのイベントが続き、どんどん拡大していけば、防災のまちにまた一歩近づく」と手応えを語った。
防災マイスター養成講座は、地域における防災リーダーとしての人材を育成しようと、市が平成30年度から開講している。講座を修了した認定者は、初年度の30年度が41人。以降、令和元年度11人、3年度28人、4年度20人で計100人に達した(2年度は新型コロナウイルス禍で中止)。
マイスターはこれまで、防災の普及・啓発の活動をおのおので展開してきたが、横のつながりを強化し、防災の輪を広げようと、有志が今年5月「集い」を発足。それ以降、月に1回集まり、消防・防災フェスタに向けて企画を練ってきた。
市防災課の担当者は「非常に頼もしい。マイスターには地域のリーダー的存在として相互に連携しながら活動してほしい。市はその後方支援をしていきたい」と期待を込める。
佐藤会長は「フェスタでは初めての活動となり、不安もあったが、たくさんの親子に参加してもらい良かった。あまり気張らずにマイスター同士や地域とつながりを大事にしながら活動し、防災を身近に考える人が徐々に増えればいい。その積み重ねで地域防災力は高まると思う」と展望する。