先人の営み 肌で感じる 「たたら製鉄」を体験 有住小5年生 地域創造学の一環で(別写真あり)

▲ 児童が炉に木炭や鉄鉱石を投入

 住田町立有住小学校(新沼健校長、児童45人)の5年生16人は14日、同校で「たたら製鉄」体験を行った。約1200度に熱した炉の中に鉄鉱石や木炭を投入する作業を体験。かつて町内で隆盛を誇った製鉄産業を肌で感じることで、先人の営みに理解を深めた。
 たたら製鉄体験は、町内の小中高校が独自に実践している教科「地域創造学」の一環。5年生は本年度、「住田の昔の産業を調べよう」をテーマに探求学習を進めている。1学期には世田米にあり、かつて国内有数の銑鉄生産量を誇った民営の製鉄所で、国指定史跡となっている栗木鉄山跡を訪問した。
 今回はたたら製鉄を体験し、かつて地元で盛んに行われていた製鉄や各種産業を支える森林資源を学んでいる。
 たたら製鉄は、木炭の燃焼熱で「餅鉄」などと呼ばれる鉄鉱石から還元する製造法。
 この日は町文化財調査委員の内海行英さん(70)や町教委職員らが講師を務めた。児童たちは前日から、高さ150㌢ほどのレンガ積みの炉の組み立ても体験。当時は動力エネルギーとして、森林資源の豊富な地域内で生産されていた木炭を活用しており、子どもたちは用意された木炭を均等な長さに切ったり、鉄鉱石を細かく砕くなどして、昔ながらの鉄づくりの準備に汗を流した。
 製鉄では鉄鉱石1㌔と木炭2㌔をおよそ10分間隔で投入。児童らは、前日に続いて鉄鉱石を砕く作業も行い、当時の手作業の苦労も体感。この日は4〜5㌔ほどの鉄が製造され、子どもたちから大きな歓声が上がった。
 村上結真さんは「めったにできない体験ができた。昔の人たちはこういう風にして鉄を作っていたのが分かった」と話し、先人の営んだ産業へと関心を高めていた。(清水辰彦)