魅力磨いて連続2冠達成 「温泉宿・ホテル総選挙」で大船渡温泉 眺望と食 地域ブランド向上に貢献

▲ 今年も高い評価を受けた大船渡温泉

 インターネットによる「温泉宿・ホテル総選挙2023」で、大船渡市の㈱海楽荘(志田豊繁代表取締役)が運営する大船渡町の大船渡温泉が、絶景部門と海の幸部門で1位に輝いた。絶景部門は3年連続、海の幸部門は2年連続で、昨年に続く2冠を達成。従業員が細かい配慮を重ね、大船渡湾の眺望や魚介類を生かした食事の魅力に磨きをかけた。同社は「連続日本一」を励みに、地域ブランド向上を誓う。(佐藤 壮)

 

 この投票は、観光地の活性化や官民一体となった観光促進活動を支援する「旅して日本プロジェクト」が主催。温泉地や名産・名所等をプロモーションし、多くの人々に足を運んでもらおうと、平成28年度から「温泉総選挙」を実施してきた。一昨年、温泉がある宿・ホテルを応援する「温泉宿・ホテル総選挙」が始まり、今年で3回目を迎えた。
 全国165の温泉宿・ホテルが参加。リフレッシュや健康増進、絶景、ファミリー、リゾートホテルなど10からなる「基本部門」の一つ、より詳細に特徴や自慢をアピールできる20の「こだわり部門」から三つにエントリーできる。今年7~10月に集まった投票総数は14万4658票に達した。
 絶景部門では、大船渡温泉は「温泉総選挙」として実施され初参加した4年前は3位、3年前は2位と着実に順位を上げた。「温泉宿・ホテル総選挙」が始まった一昨年に1位となり、昨年連覇を達成。今年も多くの支持を集めた。
 大船渡湾や稜線からの日の出風景などの良さが、宿泊客らによる口コミで広まり、注目を集める。太陽が昇る位置は季節によって異なり、特に冬場は湾口防波堤越しの水平線から眺めることができ、施設と〝対面〟する。大船渡湾がオレンジ色に染まる光景は、多くの観光客に癒やしと感動をもたらす。
 眺望の環境を大きく変えることは難しい中、地道な努力で印象アップに励んできた。日の出時間を施設内に貼り出すといったサービスに加え、昨年から今年にかけて特に注力したのは、ガラス窓をきれいに保つ心がけ。逆光でも美しく映えるように配慮を重ねた。
 大船渡温泉はもともと、豊富な海の幸を生かした夕食などが高評価を集めていた。「海の幸部門」では、昨年に続いて1位に獲得。浜ならではの新鮮さを味わってもらうのはもちろん、どんな魚介類を提供しているかを接客時に分かりやすく説明する対応にも磨きをかけた。
 市が策定した令和3~7年度を期間とする第2次市観光ビジョンでは、食分野を最も重要な観光資源と位置付けながら「ワンモアステイ」(観光でもう1日、もう1泊)の促進をはじめ、観光客の滞在時間延長を重視。6年度予算編成に向けた行政経営方針では、地域ブランド確立といったシティプロモーションの推進も強調する。
 大船渡温泉に対する高評価によって、市内全体の宿泊者増や認知度向上、周辺施設への波及も期待される。志田繕隆支配人は「今年は中間発表段階では厳しく、投票へのアピールや努力をコツコツと重ねてきただけに、うれしい。お客さまへの感謝はもちろん、絶景は大船渡への評価でもあり、市民の皆さんと喜びを分かち合いたい」と話している。