「夢の樹マルシェ」開業 おかし工房木村屋が本店隣に新店舗 ベーグルなど主商品に新たな挑戦
令和5年11月17日付 7面

陸前高田市高田町の菓子店「おかし工房木村屋」(木村昌之代表)は17日、本店隣にベーグルとジェラートをメイン商品にした新店舗「夢の樹マルシェ」をオープンする。火災と東日本大震災で2度店舗を失いながらも再起し、3年後に創業100年を迎える老舗菓子店。「陸前高田の新たな名物を生み出し、次の100年も地域とともに生きよう」と新業態の店開業に挑戦し、短時間勤務を取り入れた雇用創出にも意欲的に取り組んでいく。(高橋 信)
新店舗は、旧コンビニエンスストアの空き店舗を活用。柔らかな色合いの淡いパステルカラーの内装が印象的だ。
新店舗の事業コンセプトの一つに掲げるのが「地産地消」。本店で展開していたパン部門を移管し、そのメイン商品に据えるベーグルは、生地に陸前高田市の地域ブランド米「たかたのゆめ」の米粉を使用する。
ベーグルは焼く前のパン生地を一度ゆでるのが一般的というが、米粉入りの生地はつぶれやすいため、試作を重ね、ゆでない代わりに十分に蒸気を当ててから焼き上げる製法にたどり着いた。米の甘みと独特のもっちり感、トーストしたときのサクサクとした食感を楽しめる。
ベーグルのラインナップは、プレーンのほか、ごまやトマトバジル、抹茶など12種類を予定。ほかに本店でも人気だった総菜パンや菓子パンも販売する。
ジェラートのフレーバーは、イチゴやユズ、ブルーベリーなど10種類。使用する果物は陸前高田産にこだわり、地域色を打ち出していく。市が新たな特産品にしようと、産地化に取り組む北米原産の「ピーカンナッツ」を使ったフレーバーも販売する。
店内にはイートインコーナーを設置。2人掛けのテーブル席五つとカウンター席5席を置き、気軽に利用できる。
従業員数は製造、販売両部門で計8人。働く意欲があるにもかかわらず、障害や家庭の事情などでフルタイムでの勤務が難しい人のため、業務内容の細分化と短時間勤務を導入する。
木村屋は昭和元年に創業。平成元年の火事で店舗・工場が全焼し、再建を果たしたものの、東日本大震災の津波で再び店舗を失った。仮設店舗を経て被災から4年後の平成27年、本設店舗をオープンした。
店は三陸沿岸道路のインターチェンジ付近に構え、同市の復興のシンボル「奇跡の一本松」をイメージしたバウムクーヘン「夢の樹バウム」といった人気商品を目当てに、市民や観光客らが訪れている。今回の新店舗はドライバーが立ち寄りやすい好立地を生かし、新たなにぎわいを創出しようと開業に至った。
店は10~12日にプレオープン。17日は午前10時に開店し、来店者にはオープン記念のプレゼントを先着順で配る(数量限定)。
木村洋平店長(37)は「プレオープン時に地域の方々から『楽しみにしている』と言っていただき、頑張ろうという思いが一層高まった。イートインコーナーは、
さまざまな人の交流の場にもなればいい」と展望する。
営業時間は午前10時~午後5時。水曜定休。電話番号は、55・2825。