工事が再び本格化 橋台や橋脚建設へ 世田米の新昭和橋(仮称)
令和5年11月18日付 1面
県が住田町世田米の気仙川で進めている昭和橋の架け替え工事は、アユ漁の期間を終えたことから、再び本格化する。今後は令和7年にかけて橋台、橋脚などの工事が進められる予定で、新橋の供用開始は8年3月を目指す。
気仙川に架かる長さ73㍍の昭和橋は昭和8年に架けられた。かつて宿場町として栄えた世田米商店街側と、町役場などがある川向地区を結ぶ。気仙川沿いに立ち並ぶ蔵並みと調和し、歴史や古き良きたたずまいを感じさせる景観を形成してきたが、県の治水対策の一環で架け替えられる。
新しい橋は、鋼桁とコンクリートを合成したものを用いて建設。橋長は72㍍、幅員は7・8㍍。工事は気仙川の稚魚放流時期やアユ漁解禁期間を避けながら進め、令和7年度末の供用開始を目指している。総事業費は約11億円。
旧橋の解体工事は昨年11月から始まり、今年1月に撤去が完了。当初は5月ごろの撤去完了を見込んでいたが、スムーズに工事が進んだために、今秋から開始予定だった新橋の工事を前倒しで春に着手。5月には川向地域側の橋台が完成し、その後は稚魚の放流期間を迎え、7月から10月まではアユ漁期間となったため、河川での工事を中断していた。
今後、6年5月にかけて商店街側の橋台と、橋脚の施工で使用する工事用桟橋、同年11月から橋脚工事と護岸工を進める。
河川を横断する仮設道路も設置予定で、出水期前には撤去することとしている。下部工工事が終了したあとは、上部工、取り付け道路の工事が行われる。
13日夜には町役場町民ホールで地域住民を対象に工事説明会も開かれ、県側からスケジュールも示された。
県大船渡土木センター住田整備事務所では「工事は順調に進んでいるので、安全に気をつけながら進めていきたい」としている。
旧橋の高欄に残っていた太平洋戦争の空襲で弾片が貫通したとされる穴や、橋名を記した親柱は新橋完成後にモニュメントとして設置する予定で、現在は世田米の町農林会館近くで保管されている。