関谷洞窟 より詳細に 東山ケイビングクラブ調査 図面や3D映像提供へ

▲ 19日に行われた調査活動

 大船渡市日頃市町の関谷洞窟で、一関市の東山ケイビングクラブ(菊地敏雄代表)による調査活動が行われている。同クラブは約30年前に測量などを実施し、図面をまとめているが、より詳細な情報などに更新しようと現地を確認。新たな図面づくりに加え、3D映像用の収録も進めており、今後の活用が期待される。(佐藤 壮)

 

 19日の活動にはメンバー6人が参加。入り口部分から内部のホール状になっている空間等の測量などを進めた。20日には、3D映像をまとめるための作業も行われた。
 関谷洞窟は約4億3000万年前の古生代シルル紀に海の底でサンゴ、ウミユリなどの生物の化石が積み重なった石灰岩でできた洞窟。その後、陸に現れ、雨や地下水の流れによって溶けて空洞(石灰洞・鍾乳洞)になり、洞窟になったとされる。縄文時代の土器や石器などが見つかり、人類が当時から住居として利用したことが分かっている。
 30年以上の歴史を誇る同クラブは県内全域で活動し、さまざまな報告書を発行していることでも知られる。平成28年からは、住田町内の洞穴群調査も続けている。
 昭和60年には、大船渡市教委と共催で関谷洞窟を含む日頃市町内の洞穴群調査概要をまとめた。この調査が地元外では初の本格的な活動となったとあって、関谷洞窟に対する関係者の思い入れも強い。
 当時まとめた図面で不備があった部分の確認に加え、地域住民からの「ここからもっと先に入った」といった思い出話などを踏まえ、今回はより詳細なデータを集めている。
 菊地代表(65)は、東日本大震災が発生した平成23年にも内部に入り、地震などによる影響を確認。「巨大なホールは崩落によって生まれ、大きさは県内でも屈指。人間の営みが分かる遺跡が出ているのも大きな特徴の一つ」と、関谷洞窟の価値を語る。
 今後も洞窟内の測量を行うほか、専門家の協力を仰ぎながら地質や生物などの調査も続ける。図面や3D映像を取りまとめた報告物は、来年8~9月にかけての完成を見据え、今回の調査に協力している市教委や地元関係者にも寄贈する。
 菊地代表は「多くの方が関心を抱いているであろう地底湖の形状も、可能な限り取りまとめたい。より正確な形で図面をまとめ、3D映像も含めて有効に活用してもらえれば」と話す。