「満足」「やや満足」79% 市まとめ 公共交通の5年度市民調査 3年前から11㌽増 利用者はコロナ禍で減少
令和5年11月28日付 1面

陸前高田市は、市内公共交通の利用状況や満足度を確かめるため本年度実施した市民向けアンケート調査結果をまとめた。無回答を除いた満足度は、「満足」「やや満足」と回答した人の割合が79%と全体の4分の3を占め、前回調査(令和2年度)から11㌽上昇した。一方、過去半年間に公共交通を一度でも利用した人の割合は減少して2割を下回り、市は新型コロナウイルス禍の影響が背景にあると分析している。(高橋 信)
調査は7~8月、19歳以上の市民1666人を対象に郵送法で実施。587人が回答し、回収率は35・2%だった。
アンケートで取り上げた公共交通は▽BRT(バス高速輸送システム)▽県交通路線▽市内路線▽デマンド交通(予約型乗り合いタクシー)▽グリーンスローモビリティ「モビタ」▽支え合い交通▽タクシー──と定義。▽普段の移動の実態▽公共交通の認知・利用状況▽満足度▽要望──などを尋ねた。
満足度(無回答を除く)の結果は、「満足」36%、「やや満足」43%、「やや不満」16%、「不満」6%。2年度の前回調査と比べ、「満足」「やや満足」が伸びた一方、「やや不満」「不満」が減った。
不満の理由(複数回答可)は、「乗りたいときに乗れる便がない」「自宅から停留所まで行くのが大変」が多く、便数や運行ダイヤに関する課題が浮き彫りとなった。
過去半年間における公共交通の利用数は、「利用なし」が80・5%で、2年度対比で1・9㌽増。「複数利用」は同2・3㌽減の11・4%、「一度のみ利用」は同0・3㌽増の8・0%だった。年代別では、20代以下と80代以上で「複数利用」の割合がともに2割を超え、それ以外の年代の複数利用は1~10%台だった。
利用しない理由(複数回答可)は「自分で運転できる」「家族が送迎してくれる」が多かった。
普段の移動実態は、「買い物」「通院」「お出かけ(買い物、通勤、通院を除く)」の3パターンで質問。買い物の移動手段は「車(運転)」が最多の約66%で、次いで多かったのが「公共交通利用」の約15%だった。通院とお出かけの公共交通利用は、順に約17%、約12%だった。
移動時間帯は買い物、通院、お出かけのいずれも午前中に集中。しかし、「公共交通を運行してほしい時間帯」の問いは、3パターンいずれも実際の移動時間よりも1時間ほど早めの運行を求める回答が多く、わずかにニーズのずれが生じていることが分かった。
市は同アンケート結果などを踏まえ、市公共交通計画(令和6~10年度)の素案を作成し、本年度内の策定を目指している。計画案には6年度以降の具体的な施策として、人工知能(AI)を活用したデマンド交通の導入、公共交通機関における「フリー乗降制」の拡充などを盛り込んでいる。
12月4日(月)から28日(木)まで、計画案のパブリックコメント(意見公募)を行い、寄せられた意見を計画に反映させる。
公共交通の利用満足度は別掲。