油流出事故の防止徹底を 市魚市場周辺での頻発受け 発見時の速やかな連絡も周知 県と市

▲ 市魚市場周辺における油流出状況=11月、大船渡水産振興センター提供

 本年度に入り、大船渡市魚市場周辺で油流出事故が続いている中、県沿岸広域振興局水産部大船渡水産振興センターと市農林水産部水産課は、漁業関係者らに対する注意喚起に力を入れている。流出防止の対策はもちろん、万が一、流出した場合や発見時の即時連絡も呼びかける。湾内では養殖カキの出荷作業が続く中、関係機関は警戒を強める。(佐藤 壮)

 

 先月7日、市漁協から釜石海上保安部に市魚市場南側の海面に油が浮いていると通報があった。第二管区海上保安部仙台航空基地所属の回転翼機が、付近の海域で薄い油膜を確認した。
 油は8日までに、風浪で拡散して消えたとみられる。大きな被害は出なかった一方、湾内で養殖カキの出荷に当たる漁業者は2日程度、通常の作業とは別に警戒・被害防止の作業に追われた。
 市漁協関係者の一人は「実際に動くだけでなく、被害が拡大していないかと不安になる精神的な負担も大きい」と話す。
 大船渡水産振興センターによると、本年度の油流出は8、9、11月の計3回発生。昨年、一昨年はなかった。こうした状況を受け、漁業関係者らにポスター掲示やチラシ配布による注意喚起に力を入れている。
 本年度の発生はいずれも、船舶から流出した疑いがある。海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律では、船舶から海への油排出は禁じられている。
 船舶所有者に対しては、給油作業時の油漏れ防止徹底を要請。さらに「船内やエンジンルームの点検を徹底し、湾内外で燃料や油の混じったビルジ(船底にたまった水)を排出しないよう、日頃から注意をお願いしたい」と呼びかける。
 船舶油汚濁損害賠償保障法では、流出した油の除去作業に要した費用は原因者負担となる。さらに、周辺の漁業施設に影響が及んだ場合は、損害賠償を求められることもある。
 市魚市場では、大小問わず地元内外の漁船が多数接岸。3階の展示室や飲食施設には観光客も訪れるほか、岸壁では釣り人も見られる。
 原因者が分からず、放置していると被害拡大が進む恐れがある中、同センターでは「万が一、油を流出させた場合はもちろん、油膜や異臭など事故を発見した場合は、被害を拡大させないため、速やかに消防署や市役所などに連絡してほしい」としている。