パートナーシップ・ファミリーシップ宣誓制度(仮称)、来年度導入の方針示す、市議会一般質問で当局
令和5年12月7日付 1面

陸前高田市は6日の市議会定例会で、来年度、性的少数者(LGBTQ+)や事実婚の人たちの家族関係を公的に認める「市パートナーシップ・ファミリーシップ宣誓制度(仮称)」を導入する方針を示した。県内ではすでに4自治体が導入しており、県も制度化を後押しする指針を策定している。同制度は、陸前高田市が掲げる「ノーマライゼーションという言葉のいらないまちづくり」の理念にも合致するもので、誰もが住みよいまちを見据えて導入への検討を進める。
同制度に関しては、同日行われた市議会定例会の一般質問で、木村聡議員(とうほく未来創生)が取り上げた。「県内でも導入する自治体が増えてきている。制度やLGBTQ+について地域内での理解がどの程度浸透したと捉えているか」と質問した。
「LGBT」は、レズビアン(女性同性愛者)、ゲイ(男性同性愛者)、バイセクシャル(両性愛者)、トランスジェンダー(体の性と心の性が一致しない人)の頭文字を取った総称。「LGBTQ+」は、性自認や性的指向を模索中のクエスチョニングを含め、多様な性を包括する。
パートナーシップ・ファミリーシップ制度は、法律上の婚姻が認められていないカップルに一部の行政サービスを提供する仕組み。平成27年に東京都渋谷区、世田谷区で導入されて以降、全国の自治体に広がり、現在360を超える自治体で導入されている。県内では昨年12月の一関市が最初で、以後、盛岡、宮古、矢巾の計4市町が導入した。
陸前高田市は昨年3月に策定した市男女共同参画計画の中で、多様な性の尊重と、性的マイノリティーへの偏見や差別の解消を掲げている。制度は「ノーマライゼーション…」の理念にも連関する考え方であることから、来年度から計画期間に入る市まちづくり総合計画後期基本計画にタイミングを合わせる形で導入する方針を固めた。
現在、要綱案を検討中で、来年1月の市男女共同参画推進協議会で示す。その後、パブリックコメント(意見公募)を行い、中身を詰めていく。
同市では、陸前高田青年会議所が4月、LGBTQ+について考えるシンポジウムを開催。同会議所は10月の市産業まつりでも啓発活動を行い、理解浸透を図っている。
山田壮史市民協働部長は「パートナーシップ制度はできるだけ同じ生活圏域や広域で認められることが望ましいと考えており、近隣自治体との広域での相乗効果を図っていきたい。すべての人が互いの人権と尊厳を大事にしていくインクルーシブ(包摂的な)社会の実現に向け、さまざまな機会を捉えて周知していく」と見据えた。
(高橋信、2面に一般質問の主なやり取り)