大船渡が本州トップ堅持 全さんま集計11月30日現在 前年比で数量増も金額減
令和5年12月7日付 1面

全国さんま棒受網漁業協同組合(全さんま)は、令和4年・5年の対比サンマ水揚げ状況を発表した。11月30日現在、大船渡市魚市場への数量は3770㌧で前年累計を23%上回ったが、金額は18億2133万円で、前年より8%少ない。数量、金額ともに全国では2番目で、今季も本州ではトップを堅持したものの、漁後半の11月に入ると、伸び悩みもみられた。今月も水揚げがあるが、漁船によっては切り上げの動きも出ている。(佐藤 壮)
後半は伸び悩み傾向
全さんまによると、同日現在の全国数量は前年同期比35%増の2万4046㌧。一方、金額は同3%減の100億797万円にとどまった。数量は3年ぶりに2万㌧台に乗せたが、金額は東日本大震災が発生した平成23年以降の最低水準に終わった昨年を下回るペース。昨年1㌔当たりの単価は577円だったが、今年は416円で、28%減となっている。
水揚げの漁船数は、全国で1619隻と、前年同期の1143隻から1・4倍超に。数年ぶりに三陸をはじめ日本水域で漁獲でき、10月下旬からはオホーツク海でも取れるなど、公海以外にも漁場が形成されてきた。半面、1隻当たりの水揚げ量は伸び悩んだ。
県内数量4180㌧(前年比759㌧増)のうち、大船渡が約9割を超占める。今季も、地元漁船や、サンマを取り扱う水産加工業者の強さが際立っている。
大船渡は数量、金額ともに本州トップ。本州の数量に占める割合は41%となっている。水揚げの漁船数は228隻で、前年比で1・9倍増。1㌔当たりの単価は483円で、前年の650円から26%下がった。
今季は8月26日に初水揚げがあり、9月後半に入ると公海で操業した漁船が接岸し、100㌧超えが相次いだ。10月上旬は伸び悩んだが、中旬以降は宮古沖をはじめ三陸海域に漁場が形成され、1日で一気に400㌧を超える日もあった。
11月は、1日から4営業日連続で水揚げがあったが、29~48㌧で推移。中盤は伸びず、後半にようやく300㌧を超える日が出た。11月だけを見ると1128㌧で、前年よりも160㌧(13%)少なく、しけの影響や漁場の不安定さが浮き彫りとなった。
市魚市場では今年、2年ぶりに12月に入ってもサンマ船の水揚げが続く。5日は、宮城県沖から東に200海里ほど離れた日本海域と公海の境付近で操業した漁船が複数接岸し、100㌘以下の小型を中心に計16㌧となった。7日も水揚げが予定されている一方、今季の出漁を切り上げた漁船も見られ、最終盤にどこまで上乗せできるか注目される。
一般社団法人・漁業情報サービスセンターの第9回サンマ中短期漁況予報によると、三陸海域における12月上旬~下旬の来遊量は、引き続き低位水準。中旬以降は断続的な来遊となり、終漁となる。魚群の多くが、三陸海域の東側を南下する見込み。漁場は三陸南部となるが、下旬は形成されないとしている。
全さんまがまとめた実績は別掲。