民泊修学旅行 本年度5校721人体験 6年度は2600人予定 受け入れ家庭の確保急務

▲ 9月に行われた生徒と受け入れ家庭との対面式

 陸前高田市内の一般家庭に泊まる民泊型修学旅行の本年度受け入れ実績がまとまった。学校と家庭を結ぶ窓口業務を担う同市のNPO法人SET(三井俊介理事長)によると、体験したのは中学・高校合わせて5校721人で、新型コロナウイルス禍の影響で低調だった昨年度比526人増。令和6年度はコロナ流行前と同水準の約2600人を見込む。最大の課題はコロナ期を経て半減した受け入れ家庭の確保で、同法人は年明けにも協力してくれる家庭の掘り起こしに入る。(高橋 信)

 本年度は春季の民泊修学旅行はなかったが、9~11月の秋季に東京都内の中学校1校101人、高校4校(東京都1校、大阪府3校)620人が体験した。
 生徒の宿泊の受け皿となった家庭は77軒で、うち本年度新たに受け入れをしたのは15軒だった。生徒たちが日中、農業や漁業といった1次産業や、自然に囲まれた中でのゆったりとした田舎暮らしを体験できるのが「民泊型」の特徴で、受け入れ家庭ごとに陸前高田ならではの過ごし方を提案した。
 広田町の蒲生由美子さん(64)は昨年度まで同居する娘の妊娠、出産のため控えていたが、本年度4年ぶりに受け入れを再開。生徒に家庭菜園の野菜を使った手作り料理を振る舞い、交流を深めた。
 「久しぶりだったので初めは不安もあったが、中高生が来ると孫たちがすごく喜ぶ。再開して本当に良かった」と蒲生さん。「生徒たちに地元を紹介することで、自分自身も地元を見つめ直し、『陸前高田ってこんなにいいまちなんだ』と魅力を再発見できる。来年度も積極的に協力したい」と意欲的に語る。
 同市における民泊修学旅行は、平成28年度から本格化。年々認知度が高まり、令和元年度は全国の中高12校が利用し、人数は過去最多の約2500人に達した。民泊を機に市民と生徒が手紙を交換するなど交流・関係人口拡大にもつながっている。
 令和2、3年度はコロナ禍で休止し、4年度の利用者は秋季の2校195人。6年度は春・秋季合わせて13校約2600人が訪れる予定となっており、本来の受け入れ数に戻る。
 一方で、課題は受け入れ家庭の確保だ。元年度は約200軒が稼働したが、コロナ禍や高齢化の影響で4年度59軒、5年度77軒と推移。6年度は最大で一度に350人規模の訪問も予定されており、SETは「少なくとも100~110軒まで増やすのが目標。協力をいただける人への周知に努める」としている。
 同法人民泊担当の吉原直矢さん(28)は「本年度無事に受け入れができてホッとしている。生徒と住民が涙を流しながらお別れしている光景が印象的で、民泊の価値を再確認した。来年度は受け入れ人数も増える。心温まる交流をサポートしたい」と意気込む。
 受け入れ家庭の登録申し込みなど、問い合わせは同法人(℡47・5747)へ。