みなと公園で震災追悼式 来年3月11日 「祈りのモニュメント」除幕も
令和5年12月8日付 7面

大船渡市は、来年3月11日(月)の東日本大震災大船渡市犠牲者追悼式を、大船渡町のみなと公園内で開催する。公園内には追悼施設となる「祈りのモニュメント」を整備し、同日に除幕式も計画。これまで、追悼式はリアスホールを会場としてきたが、再来年以降も公園内で実施し、犠牲者氏名が記された芳名板のそばで追悼の場を設ける。(佐藤 壮)
大船渡市の追悼式は、犠牲者の追悼とともに、震災の記憶風化を防ぎ、次代に継承していこうと、平成24年からリアスホールで開催。今年の式には、市関係者や来賓ら約100人が参列し、午後2時46分に1分間の黙とうをささげた。一般参加も受け付け、参列した遺族らはさまざまな思いを寄せながら、静かに白菊を手向けた。
市は本年度、公園内に震災追悼施設の整備を進めている。構築物の名称は「祈りのモニュメント」。ガラス素材を支える10本の柱は市内の10地区を意味し、未来に向かって支え合う意志などを込めた。犠牲者の氏名を掲示する芳名板は、毎年3月の一定期間にスロープ路に設け、通常はQRコードからスマートフォン上で閲覧できるようにする。
広場へのスロープ沿いには、明治三陸地震、昭和三陸地震、チリ地震津波の高さを表した過去の津波高表示板を設置。津波高と同じ高さに置くことで、歩きながら津波の高さを体感できる。スロープを上りきった広場から、復興した街並みとモニュメント越しに海を望むとともに、震災の記憶を風化させることなく未来への教訓としてつなぐ流れを描く。
今回整備するモニュメントや芳名板などを通じて、より効果的な風化防止や、教訓の継承につなげる考え。御芳名のそばに追悼の場を設け、参列する遺族のほか、市民の心情にも配慮する。
市によると、追悼式当日は案内者向けにいすを設ける予定。これまで開催してきた式よりも、出席者数は少なくなるとみている。駐車場に関しては、付近にあるおおふなぽーとの第2駐車場などを案内するとともに、なるべく公共交通機関を利用するよう呼びかける。降雨が予想される場合は、テントを用意する。
式では除幕や市長あいさつ、祈りのモニュメントなどの概要説明に続き、黙とうを行う。開催後には、市民らが自由に献花できる。
令和7年以降も、みなと公園を会場とする。佐藤雅俊総務部長は「遺族の方々にも、それぞれの場所で祈りをささげたいとの思いが一定数ある。市としては、式を通じて風化を防ぎ、将来の教訓に生かしていく意思を継続的に示していかなければいけない。会場をみなと公園に移し、継続して開催していく」と話している。