保持団体に正式認定 盛町五年祭保存会 県無形民俗文化財指定受け

▲ 認定書を受け取る水野会長㊥

盛町五年祭で繰り広げられる「館山車」

 大船渡市の盛町五年祭が県無形民俗文化財に指定されたのを受け、盛町五年祭保存会(水野公正会長)に11日、県教育委員会からの保持団体認定書が伝達された。関係者は正式指定を喜ぶとともに、後世継承への意欲を新たにしていた。
 認定は先月21日付け。伝達式は市教委教育長室で行われ、水野会長と新沼幸夫事務局長が出席。小松伸也教育長が水野会長に認定書を手渡した。
 小松教育長は「伝統文化は地域の誇りと愛着を培い、魅力を高めるもの。地域の宝として保存を」とあいさつ。水野会長は「指定は本当に名誉なことであり、天照御祖神社の宮司、総代一同で喜んでいる。人口減でマンパワー不足といった課題はあるが、気持ちを新たにして、継承に向けて頑張っていきたい」と述べた。
 盛町五年祭は、天神山の同神社から町内に渡る神輿を供奉し、稚児行列のほか、山車、曲録、権現舞、はやし屋台、手踊りの群舞が行列する。山車は、県内の旧仙台藩領域の祭りに特徴的な高い建物を持つ「館山車」と呼ばれる人形山。建物の中と横には定型の人形、山車の前後には武者や話題の題材の人形などを載せる。
 県内の町場における祭礼では山車、在(地方)の祭礼では芸能が供奉される。盛町五年祭では人形山と芸能、さらに芸能を載せたはやし屋台という双方の要素を取り込み、地域的特徴を示している。
 毎年ではなく、決まった周期で大祭を催行する式年祭は、気仙地方独自の儀式。東日本大震災を経て継承の貴重さが増し、盛町内での継承意欲も盛んな中、今年9月に開かれた県文化財保護審議会で、無形民俗文化財に指定するよう県教委への答申が行われた。
 県教育委員会で議決され、県報告示で正式に指定となった。市内での県文化財指定は11件目だが、「祭り」では初となる。
 指定にあたり、通年で組織される保存会組織が必要になる中、同保存会は9月末に発足した。会長、副会長は神社責任役員で構成し、常任委員や監事は町内各地域の役員らから出している。
 会則では、目的に「寅・午・戌の年に行われる式年大祭に際し、祭典及び、諸行事が安全・明朗・荘厳に遂行される」、事業では「町内に繰り出される神輿行列、曲録、館山車、権現舞、はやし屋台などが後世に継承されていくよう運営する」を掲げる。
 大祭運営自体はこれまで通り、奉賛会が担う。昨年4月の大祭は新型コロナウイルスの影響を考慮し、神事のみ執り行われた。