海を越えた絆 次代に継承を 市民有志が新組織立ち上げ 米クレセントシティとの友好活動展開へ
令和5年12月12日付 1面
東日本大震災をきっかけに、姉妹都市協定を結ぶ陸前高田市と米カリフォルニア州クレセントシティ市との友好関係を、市民主導で継続・発展させようと、有志による新組織が10日に立ち上がった。震災の津波で流された県立高田高校の実習船「かもめ」がクレセントシティに漂着し、返還されて以来、相互に訪問団を派遣するなど交流を行う両市。海を越えた絆を次世代に引き継ぐべく、新組織は賛同者を募りながら活動の輪を広げていく構想だ。(高橋 信)
組織名は「クレセントシティ友好の会」。設立総会は同日、高田町の奇跡の一本松ホールで開かれ、両市の交流に携わってきた有志ら約20人が出席し、会則や事業計画、役員などを決めた。会長には会社員・大林孝典さん(39)=広田町=が就いた。
手掛ける事業は▽相互訪問時の民間交流の促進▽産業・文化・教育分野などの知見の共有▽情報発信──など。具体的な取り組みは会員間で協議し、決めていく。参画するプレーヤーを増やそうと、現地への訪問経験の有無を問わず、会員を増強していく。将来的には分野ごとに下部組織をつくり、活動の幅を広げる計画を立てている。
総会後は同じ会場で設立を祝う会が繰り広げられた。招待を受けた佐々木拓市長は、6月のクレセントシティ市からの訪問団受け入れを振り返り、「あの楽しい出会いは今でも忘れられない。両市の未来のためにも、友好の会が発展することを祈念している」と願った。
クレセントシティ市の関係者約10人もオンライン参加。陸前高田で味わった酔仙酒造の「雪っこ」が話題に上り、「〝スノーベイビー〟をまた飲もう」と笑い合った。
元市長のブレーク・インスコアさんは「両市の友好関係が新しいステージに進む」と住民主体の組織発足を喜び、「かもめ」第一発見者のビル・スティーブンさんは「陸前高田に行って一緒にお祝いしたい気分だ」と画面越しに手を振った。最後は地元の歌手・雪音さんや参加者が友好の歌として『カントリーロード』を熱唱した。
高田高海洋システム科の養殖実習などで使われていた「かもめ」は、発災から約2年後の平成25年4月、米西海岸のクレセントシティに漂着。地元のデルノーテ高生らの尽力で同年10月に高田高に返還され、これをきっかけに双方の高校生が訪問し合うなど交流が始まった。
両校は29年に国際姉妹校となり、30年には両市が姉妹都市協定を締結。相互に市民団の派遣も行われている。
これまでは行政主導の交流がメインだったが、今夏、クレセントシティが属するデルノーテ郡一帯で大規模な林野火災が発生し、市民有志が「海の向こうの姉妹都市を励まそう」と応援メッセージを送る活動を展開。最終的に700人を超える市民らが参加し、「行政に頼らない住民主体の活動を行っていくための受け皿を作ろう」との機運が高まり、今回の組織発足に至った。
大林会長は「クレセントシティの住民の陸前高田への思いは非常に熱く、そのラブコールにしっかりと応えて友好関係を末永く発展させていきたい。一人でも多くの人に活動に携わってもらえるよう、門戸を広げて仲間を募っていく」と意気込む。
居住地不問で、誰でも入会できる。会費は正会員年間2000円、賛助会員同5000円。高校生以下は無料。問い合わせは、鈴木典子事務局長(℡090・2369・2610)へ。
役員は次の通り。任期は6年度末まで。
▽会長=大林孝典▽副会長=佐藤浜子
▽事務局長=鈴木典子▽会計=菅原由紀枝▽監査=金野美惠子





