悩み分かち合う環境を 災害公営住宅自治会役員らの負担軽減模索 気仙 支援団体と協働 団地間交流促進も
令和5年12月13日付 7面
東日本大震災の住宅確保策として気仙両市に災害公営住宅が整備され、供用から6年以上が経過した中、各団地の自治会役員を務める住民の悩み・課題を共有し、その解決や負担軽減を模索する動きが出始めている。今月8日には、大船渡市内で勉強・交流会が開催され、役員を担う住民や支援団体の関係者らが意見を交わした。定期的に訪問活動を続ける支援団体などでは、今後も団地間交流を後押しするほか、持続可能な協働の形も探ることにしている。(佐藤 壮)
気仙両市における災害公営住宅は、大船渡市内で25団地801戸(市営・県営)、陸前高田市内で11団地895戸(同)整備された。平成29年度までに全て完成し、近年は、被災者以外の入居利用も進む。
大船渡市の特定非営利活動法人きょうせい大船渡(佐々木敦子代表理事)は本年度も、災害公営住宅のコミュニティサポートに関する事業を展開。定期的に各団地に出向く中で、役員からの悩みを受け止めてきた。仮設住宅団地の時から被災者支援に当たり、現在は県被災地コミュニティ支援コーディネート事業のコーディネーターを務める船戸義和さん(45)と連携し、課題解決を目指している。
60世帯以下と中小規模に当たる災害公営住宅団地の自治組織で役員らが、他団地の役員や支援者らとつながりを持ちながら今後の展望を探ろうと、同事業を生かした勉強・交流会を大船渡町のおおふなぽーとで開催。気仙両市の災害公営住宅で自治会役員を担当する住民に加え、日頃から住民と交流があるきょうせい大船渡、陸前高田まちづくり協働センター、いわて連携復興センターの各関係者ら10人余りが参加した。
船戸さんが進行役を務め、事前に聞き取りしていた自治会の現状、課題を共有。草刈りを含めた清掃活動に関しては、参加者不足の悩みが浮き彫りになった。
一般入居住民を含めた声がけなどによる仲間づくりや、住民で団地内の環境保全を行う意識醸成の必要性も話題に。役員に関しては、人材確保や負担軽減のあり方について、意見を交わした。
自治会役員のみで解決を図るのではなく、支援団体との協働や、行政などからの支援を求める動きの大切さも確認。今後は各団地の集会所などに出向きながら、より実情に合った意見交換を進めることになった。
参加者からは「行ってよかった。いろいろな声が聞けた」との声も。末崎町・平団地5号棟(11戸)の代表役を務める菅原堅市さん(74)は「男性の担い手がいない。草刈りなど、今は何とかできていることが、いつかできなくなるのではないかという不安がある。共益費をどうするかも難しいが、きょうせい大船渡の方々がデータを用意してくれたりと、助かっている。自分たちだけでは難しい」と話す。
船戸さんは「少人数で深い議論、意見交換をすることで、共感や仲間意識も出てくると思う。勉強会を通じて、自分一人では解決が難しいことでも、支援や協力を求める手があることも分かる。これからにつながる有意義な場となったのではないか」と語り、さらなる連携・交流の広がりを見据える。





