インフルエンザ 猛威振るう 1医療機関当たり患者数56・60人に 子ども中心に感染拡大 予防対策の徹底呼びかけ 気仙

 県内で流行警報発令中のインフルエンザが、気仙でも猛威を振るっている。県感染症情報センターが13日に発表した第49週(今月4日~10日)の1医療機関当たり患者数は、大船渡保健所管内(気仙)で「56・60人」と前の週を23・20人上回り、県内の保健所管内別では奥州に続く2番目の多さを記録。子どもを中心に感染が拡大しており、県では手洗いやせきエチケットの励行といった対策の徹底を呼びかけている。(三浦佳恵)

 

 インフルエンザはインフルエンザウイルスを原因とする急性の呼吸器感染症。潜伏期間は1~3日ほどで、38度以上の発熱や頭痛、筋肉痛、関節痛などの症状が突然現れ、鼻水、せきなどの呼吸器症状が続く。同センターによると、県内では例年、11月下旬から12月頃に流行入りし、1月から3月にかけて患者数が増える。
 県は、気仙の5カ所を含む県内63の医療機関から毎週インフルエンザ様疾患の患者数の報告を受け、感染状況を把握。目安として、1・0人を上回れば「流行入り」、10・0人以上で「注意報レベル」、30・0人以上で「警報レベル」と位置付けている。
 県内では、今年第40週(10月2日~8日)に流行入りし、第45週(11月6日〜12日)に注意報、第47週(同20日~26日)には警報を発令。第49週の1医療機関当たり患者数は「40・06人」だった。
 第40週以降における気仙の発生状況(別表)を見ると、1医療機関当たり患者数は第43週にゼロとなったものの、第45週で流行入り、第46週には注意報の目安をそれぞれ超過。第48週には警報レベルを上回った。第49週に対象医療機関を受診した実質患者数は283人だった。
 小・中・高校の閉鎖措置も相次いでいる。県によると、今月13日現在で管内の延べ22校(大船渡市13校、陸前高田市8校、住田町1校)で措置がとられた。
 管内の医療機関でも、インフルエンザ患者の受診が多くなっている。大船渡市の県立大船渡病院によると、発熱などの症状で受診し、検査でインフルエンザの陽性となった患者数は、先週に入って前の週の2倍以上に急増。「患者の8~9割は子どもで、特に土・日曜日の救急外来に受診が集中している」という。
 陸前高田市内で唯一の小児科がある県立高田病院では、平日に午前11時までの事前連絡制で発熱外来を開設。同院では、「子どもの受診が多く、混んでいるときには診察が午後6時ごろまでかかる日もある。特に、月曜日(11日)は土・日の分もあってか、通常時を大幅に超える小児の受診があった」としている。
 感染の拡大は、治療薬にも影響。気仙薬剤師会によると、インフルエンザの治療薬では、乳幼児用の粉薬などが減ってきているという。
 また、せき止め薬は、新型コロナウイルスの影響や製薬メーカーの不祥事などを背景に、大人用も含めて不足状態が続く。同会では、「せき止めは先発、後発を問わずに探して出すのが実情で、市販薬も少ない。それでも、メーカーが違う同じ薬などを用意し、薬局間でも連携しながら対応しているので、心配しないでほしい」と話している。
 県は、こまめな手洗いの徹底や手指消毒、せきエチケットの励行、十分な栄養摂取と睡眠などの対策を呼びかけ。症状がある場合は休養し、発症した際には医師の指示に従って感染拡大防止に努めるよう周知している。


横田小学校で学年閉鎖措置/陸前高田

 

 県は13日、インフルエンザの集団感染により、陸前高田市立横田小学校4、5年生で同日から14日まで学年閉鎖措置がとられたと発表した。県によると、同校では全校児童39人中8人が罹患した。