防災マイスター115人に 新たに15人加わる 市の本年度養成講座閉講(別写真あり)

▲ 8カ月間にわたる講座を終え、マイスターとして認定された受講者

 陸前高田市が独自に認定している市防災マイスターの本年度養成講座は、17日に全プログラムを終えた。本年度は5月以降13講座が組まれ、15人がマイスターの認定を受けた。これによりマイスターの人数は計115人となった。本年度は認定者有志が立ち上げた新組織が動き出し、防災・減災に関するソフト面の取り組みは、行政による人材養成から市民主体となった協働の活動へとフェーズが移行しつつあり、今後の展開にも関心が集まる。(高橋 信)

 

最終日の講座で講師を務めた関谷教授

 同日は高田町の市コミュニティホールで閉講式が行われ、認定者や市事務局約20人が出席。佐々木拓市長は一人一人に認定書を手渡し、「皆さんのような防災リーダーの知恵と行動が、地域防災力の向上につながる。震災後、市民一丸となって復興に取り組んできた当市にとって次なる災害への備えが大切。平時における防災の重要性を再認識してほしい」と呼びかけた。
 認定を受けたのは10~60代の15人。新マイスターを代表し、竹駒町の村上智子さん(54)が「知らないことは恐ろしいということを講座を通して学んだ。日頃からの備えが大切で、災害が起きたときに講座で学んだことを生かせるように準備したい」と述べた。
 この日は閉講式前に最後の講座があり、東京大大学院総合防災情報研究センターの関谷直也教授が講話。避難行動の心理や災害情報の変化、災害時の情報伝達などについて説明し、「災害情報は増加、多様化し、理解されにくい。迷ったら早めに避難すること、避難を促すことを徹底して」と強調した。
 講座は将来の大規模災害発生に備え、防災に関する知識や技術を習得し、地域の防災リーダーとなる人材を養成しようと、平成30年度から毎年実施。国内の防災分野トップの研究者らを講師に迎えた8カ月間にわたるプログラムを組んでおり、マイスター認定者は30年度41人、令和元年度11人、3年度28人、4年度20人の計100人(2年度は新型コロナウイルス禍で中止)となっていた。
 マイスターはこれまでおのおので活動してきたが、横のつながりを強化し、防災の輪を広げようと、有志が今年5月、新組織「防災マイスターの集い」(佐藤健会長)を発足。11月に同市で開かれた消防・防災フェスタが活動デビューとなり、多彩な体験ブースを開設した。
 本年度の認定者の中で最年少の金野恵人さん(高田東中3年)は、「マイスターの集いや防災に取り組んでいる人とのつながり、活動に携わるきっかけを得られたことが講座の一番の意義だと思う」と話した。
 佐藤会長は「行政だけでなく、市民が次の災害に対してどうすればいいか取り組むことが大事。マイスターの集いのメンバーとして活動する人が増えるようPRしたい」と意気込む。